「ジェミニ」が欲しい

わが家の親父の自家用車遍歴は、兄弟から譲り受けた「ホンダN360」からはじまって、二代目が「いすゞジェミニ・ディーゼル」だった。

残念なことに、わが家の道路付け事情は「狭隘道路」の位置づけにあるために、ジェミニのサイズ感でギリギリなのである。
隣家は会社社長の邸宅であるが、こちらも「日産マーチ」で我慢していたところ、「社長!それじゃああんまりです!」という社員の一言で、「VWのゴルフ」に乗り替えていた。

親父は海軍レーダー兵から転じ、自動車教習所の管理職だったために、自動車についてのメカから道交法にいたる知識は「本職」であったので、愛車N360のエンジンが壊れてしまってからの新車選定にはえらく慎重だった。

いくつものパンフレットをみながら、「これだ!」と選んだのが、「ジェミニ・ディーゼル」だったのである。
当時のわたしには、乗用車で「いすゞ」というメーカーを選ぶのが意外であって、まったくノーマークであったし、「ディーゼル」の意味が不明だった。

しかし、いまでもその性能が懐かしいほどの完成度で、ただただ残念なのが、塗装のチープさが惜しまれる。
エンジンは絶好調だったが、ボディーに穴が開くほどのサビがひどかったのである。

それで、三代目をデビューしたての「トヨタカムリ」にしたので、もう近所に駐車場を借りないといけなくなった。
たしかに、カムリは当時トヨタの世界戦略車だけあって、いまでいう「トヨタ品質」の名車であったが、やっぱりジェミニの燃費の凄さにはかなわない。

なにせ、ふつうに30㎞/Lであったし、長距離ドライブだと40㎞/L以上はあたりまえだった。
当時の軽油は、70円/Lだったので、カツカツでの満タン給油でも5千円でお釣りがきた。

5速マニュアルのカットビ感も素晴らしく、信号待ちでのスタートダッシュでは、並みいるガソリン車をしっかり出しぬいていたものである。

冬場、ディーゼルの弱点に「エンジン始動」のための「余熱時間」があったが、いすゞは画期的な「0.5秒着火」の世界初となる特殊プラグの開発に成功し、ほとんどガソリン車とかわらない始動ができたのである。

この名車が廃番となったばかりか、いすゞが乗用車事業から撤退し、大型商用車に特化したのは、資本提携した「GM」の決定だったという。

「GM」は、アメリカ市場で低燃費でコンパクトな日本車に遅れをとっていたので、ライバル潰しをやったのかもしれないが、逆に「GMブランド」での世界展開をしていたらいまごろは?とおもうのである。

残念ながら、わが国の「軽油規格」の品質が悪いために、ヨーロッパ製の高級クリーンディーゼル車は故障のリスクが高いし、マツダの人気「CXシリーズ」も、「ちょいのり」を繰り返すとまずいことになる。

この意味でも、いすゞジェミニ・ディーゼルの完成度は異次元だった。

いま、エンジン振動と静音性を確保したら、売れないはずもないのに、まことに残念なのである。

こういうあらゆる意味でコンパクトなクルマがほしい。

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