酒屋アルコールの「酒税免除」

めずらしく、結構なニュースがあった。

消毒用エタノールが不足して、各地の地酒メーカーが社会のために高濃度アルコールの生産をはじめたが、「酒税」がかかるため高額になっている。
それで、なんとかならないのか?というメーカーからの要請に、国税庁が1日、「特別に期間限定で免除」を決めた、という内容である。

先月書いた「酒税」の問題が、クリアされたわけだ。

しかし、壁はもうひとつあって、それが「消防法」なのである。
高濃度アルコールは、「危険物」に該当するから、そもそもの生産量が消防法で規制されるということだ。
なので、生産能力があっても一定以上はつくれない。

さらに、「転売屋対策」が必要なのではないか?という議論があるのは、高額転売されて、ほんらい必要とすべき医療機関をはじめとした需要先に届かないことを懸念してのはなしになっている。
それで、転売を罰則付きで禁止してほしい、という製造元からの要望がある。

「法」にかかわる問題を整理すると、
既存法として、
・酒税法
・消防法
新法として、
・罰則付き転売禁止法
ということだ。

あえて「そもそも論」をいえば、5月1日以降の出荷分について、「不可飲処置」が承認されれば酒税課税がなくなるという、
(1) ルールをつくって、
(2) 決めたのが、
「国税庁」だというのは、「税」の原則からしたら「大」がつくほどの問題がある。

国民から徴収するのが「税」であるから、民主主義国家なら、ほんらいは「国会」で決めないといけない。
「徴税」こそが、国家権力の権力行使そのものであるからだ。
よって、「立法府」における最重要な決めごとが「税」にまつわる「法」を決めることなのだ。

「国税庁」とは、そのHPでも明記しているように、
使命:納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する。
任務:財務省設置法第19条に定められた任務を、透明性と効率性に配意しつつ、遂行する。
とある。

その財務省設置法第19条は、
(任務)
第十九条 国税庁は、内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収の実現、酒類業の健全な発達及び税理士業務の適正な運営の確保を図ることを任務とする。

である。
さらっと書いてあるが、じっくり読めばたいへんな「任務」となっていて、「使命」から逸脱した権限をもっている。
「徴収」だけでなく、「賦課」(税をかけること)もし、「税理士」を「岡っ引き」にする。

このたびの、酒類製造業者である「酒類業」がはじめた、「飲用としない」消毒用アルコールの製造は、「法」で想定していなかったことなのだ。造り酒屋が酒ではないものを作ったときにどうするか?になるからだ。
となれば、「法」をどうするのか?を緊急に定めないといけない。

これをしないで、国税庁が「なんとかした」ということは、結果が良くても手続きに問題がある。
いまさら面倒だが、民主主義とは「手続き」が重要なのだ。
ようは、越権行為ではないのか?

もうひとつの、消防法は、放置されたまま、という点で、越権はしていないが、国民の利益を高める、という点において役に立っていないということだ。
そういえば、ガソリンスタンドが「セルフ」になるとき、「かならず火災が起きる」といっていたひとたちはどなただったか?

政府は、経済停滞を招く方策を熱心に推進しているが、国民生活や医療現場の「緊急事態」について、じつに無頓着である。
しかし、このばあい、政府ばかりを責められないのは、政治、とくに立法府の無能が犯罪的レベルであるということだ。

すると、衆議院の議員数で圧倒的(絶対)多数をもっている、与党の無能とイコールの関係になるのは必然で、統治能力がないばかりか、存在意義すら疑問である。
与野党ともに、議員が衆参両院に「ある」法制局を使いこなせないのは、「政党内に独自の」シンクタンクがないからである。

つまり、役に立たない議員が、たまたま与党の看板のしたに集まっているだけの状態で、そこにはなんら共通の目的や目標さえも存在しない。
これは、「組織ではない」ということであって、ふつう「集団」というのだ。

とうとうわが国に、「近代政党が存在しない」ことの大問題が、コロナ禍という非常時に顕在化したのである。
国民は、いま待機中の自宅で、このことの重大性を認識しつつある。

にもかかわらず、当事者たちである与党の国会議員に、いったいどんな危機感があるのだろう?
おそらく、自分たちの存在意義が問われているなぞという危機感など微塵もないだろう。

これこそが、当事者能力のなさを証明している。

いま、国民に「自粛」を強要している政治家は、かならず国民からの「粛正」の対象になる。
お気軽でいられるのは、落選しないという根拠不明の安心感からだろう。

しかし、「安心」のために「自粛」を容認した国民も、ネット情報をつうじて、「ウィルスの事情」がだんだん理解できてきた。
教育水準が高いわが国の国民は、国会議員と遜色ない知的能力を持っているからだ。

「安心」が「裏切られた」と気がつきだしている。
すくなくても、全国一律の必要性や、全世代一律だっていかがなものか?しかも、補助金額だけが対策でいいのか?と。

それに、「諮問委員会」の「専門家」に、どうして弁護士がはいっているのか?だれが、いつ、どうやって選んだのか?
感染症や医学、科学の専門家会議ではないだけでなく、ここにきて、あろうことか「経済の専門家」まで加えろという「専門家」とは、いったいどんな集団なのか?

得体の知れないこれらのひとが「諮問委員会」として、首相の命にしたがうのか首相をしたがえているのかさえもわからないのに、よくも「与党」は平然としていられるものだ。
組織ではなく単なる集団だからとしか説明できない。

この後始末は、経済混乱というレベルでは済まない。

だから、ますます新法として、罰則付き転売禁止法なんて、やってはいけないものを、中央も地方の政治家も「やりたがる」のは、なんだか「目立たないといけない」という感覚からでしかないだろう。
これを、私利私欲というのである。

転売を阻止したい、まじめな酒造メーカーさんの気持はわかるが、これは「経済警察」を発足させる「猛毒」になる。
自由経済下では、「規制」ではない「市場メカニズム」における「退場」を促すことが肝要なのだ。

まずは、クールダウン。

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