ことしの春闘は、大手企業でざっと5%の賃上げとなったけれども、「官製」ということばが飛び交うほどに、政府主導の「賃上げ」がおこなわれた。
政府はさらに、中小零細企業にも、賃上げのために製品原価への「転嫁」を要請して、大手企業への「受入要請=命令」をはじめたようである。
道具は、公正取引委員会による「監視の強化」で、価格転嫁を邪魔したらどんな大手でも告発するぞ、という脅しなのである。
日本の体制が、どんどんソ連化している。
その「ソ連時代」を否定するプーチン氏と敵対しているのは、日本の体制をソ連共産党とおなじにしたいからだから当然だ。
そんなことがみえてきて、なにも、アメリカ民主党(ソ連共産党・トロツキー派)から強制されているものでもなく、あんがい自主的なことがわかる。
もはや「日米同盟(「EU委員会」も含む)」とは、ソ連共産党トロツキー派の同志による同盟になって、「共通の価値観」といってもたしかに矛盾しないのである。
自由経済に政府が介入すれば、たいがいの結果は「失敗する」ということは、とっくに歴史が証明しているのだけれど、いろんな方法で国民生活を追いつめて、政府依存にさせることができれば、国民が政府に援助を求める当然になって、とうとう共産化する。
これを、革命のソフトランディングといいたい。
「ビジネス保守=みかけだけの保守」というひとたちの、質の悪い、仕組まれた宣伝で、あたかもアベノミクスが「よい経済政策」だったごとく書きまくったから、それが「真正保守」たる安倍氏の功績のように取り扱われている誤魔化しがある。
安倍政権から、菅、岸田と政権は代わったが、自公政権であることは変わっていないので、一貫した社会主義化=共産化が実行されているのもぜんぜん変わらない。
菅氏はアイヌ問題で日本人の民族分断政策に成功したし、その道具たる、「ふるさと納税」なる、「ふるさと破壊」も成功している。
このひとの地元・横浜市は、わが国最大の自治体にして、わが国最大の地方税流出が実現したので、「カジノ計画」を立案する羽目になり、これが廃案で青息吐息財政になっている。
岸田氏は、より鈍感に、すなわちかつてなく強力に、わが国を共産化させるアベノミクスの完成を急いでいる。
それで、言いだしっぺだが緩慢な旧安倍派を血祭りに上げたのである。
日本総督府たる、アメリカ大使館の存在が不気味に光る事態だが、だれもいわない。
この30年以上も、「デフレからの脱却」という刷りこみが徹底されたので、こんなインフレ時代になっても、まだデフレだと勘違いしているひとは多数いる。
何度も書くが、デフレとは通貨価値がモノの価値より高くなることで、インフレとは、通貨価値がモノ価値より低くなることをいう。
結果として、デフレだと物価が下がり、インフレだと物価が上がる。
だから、デフレだから物価が下がる、とか、インフレだから物価が上がる、という言い方は、正確ではない。
「だから」を「理由:原因」としていうならまだしも、「イコール」の意味でいうと、間違いとなる。
さて、あたかもデフレからインフレになったので、賃金がこのままだと生活が苦しくなるのは当然だ。
しかし、だからといって、賃金を政府が介入して無理やり上げるとどうなるか?について、あまりにも脳天気なのである。
それは賃金を上昇させると、粘着性のあるインフレになる畏れが高まるからである。
なかなか、コントロールが困難なので、「ベタ付いて取れない」という意味で粘着性という用語をつかうのである。
ここで、円という通貨の価値はどうなっていたかを問えば、いわゆる「デフレ時代」にも一貫して価値は下がっていた。
それが、「金:ゴールド」の取引価格をみれば明らかだ。
ようは、バブル以来、「円」はずっとインフレの状態にあったのである。
にも拘わらず、世界で日本だけがデフレだったのは、「内外価格差」のダムが漏れ出したからだとずいぶん前に書いた。
内外価格差は、世界にない日本独自の「規制」から生じるが、規制緩和の中途半端な状態が、不可思議な物価下落をダラダラと続けていたのである。
そんなわけで、これからインフレが加速することが日銀の方向転換で確実化した。
これを政府が主導するのは、日本経済をいよいよ破壊しようということで、今後注目すべきは、「失業率」と実数の「失業者数」になる。
だから失業者を増やすために、政府が中小零細企業にも賃上げを要求しているのである。
生活苦の失業者たちが、立ち上がるとき、日本でいよいよレジームチェンジが起きるから、日本人は「ウクライナがどうなったか?」を2000年ぐらいにさかのぼって、いまこそ研究して理解すべきときになったのである。
生活の不安定と、政治家や政府役人の腐敗こそが、ウクライナをあんなふうにしたのであるが、仕掛ける側(民主党トロツキー派)のワンパターンは、国を選ばないほどのワンパターンなのである。
ただし、日本がそのパターンにはまっても、今度は阿呆のような援助をする日本に代わる国がないから、アジア最貧国に落とされてもだれも助けてはくれないことぐらいは肝に銘じておくべきなのだ。
もしも「援助を申し出る国」が現れたら、『ゴットファザー』の裏切り者のごとく、いよいよ共産化を完成させるための甘言だといって間違いないのである。