大丈夫、国民が負担するから

日本の中心地が東京なのは、首都だから、であるけれど、その首都機能は千代田区の永田町(立法府の国会)と霞ヶ関(行政府の官庁街)、それに三宅坂(司法府の最高裁判所)が固まって近隣地域に集約されてあるからで、もう「皇居がある」を真っ先にいうひとが少なくなっている。

誰が国家元首なのか?が曖昧になって、もうすぐ80年なので、あの吉野家の往年のコマーシャル「牛丼一筋80〜年♩」が思い起こされる。

16日に伸延開業した、北陸新幹線は、横浜市内のどの駅にも祝賀気分満載のポスターが貼られているけど、地震被害の復興と観光の両立がわたしには理解できない。

もともと「全国新幹線計画」は、まだ高度成長期で、後からしたら「全盛期(ピーク)」だった、1970年に制定された「全国新幹線鉄道整備法」によって決定したが、翌年の「ニクソンショック」やら、そのまた2年後の「オイルショック」やらで、1982年に「凍結の閣議決定」(鈴木善幸内閣)がされた。

それから「たった」の4年と4ヶ月ほどした、1987年1月末に、凍結が解除(中曽根内閣)されたけど、スーパー特急方式も混在する、しょぼいものだった。

「財政規律」というよりも、赤字負担をどうするか?が、全線フルスペックとすることを躊躇させたというけど、ビクビクしながらうまいこと誤魔化したといった方が正しいのだろう。

なお、中曽根内閣といえば、1985年8月12日の「日航機墜落」について、いまだに「事件説」が絶えずに論じられているのは、中曽根氏が「墓場に持ち込む」といって、本当に黙して語らなかったことにも原因がある。

これが、ビクビクしながら「解除」したことの真因なのかもしれない。

そんなわけで、東京=上越妙高まではJR東日本、上越妙高から先はJR西日本の管轄になっており、今般開業した敦賀から京都を経由して新大阪までの最終伸延はこれからだ。

国土交通省によれば、金沢=敦賀の建設費は、約1兆1858億円で、敦賀から小浜を経由して新大阪までの試算では、概算で2兆1000億円が見込まれているけど、トンネルばかりの計画ルートでこの概算は「安すぎ」の大甘ではないか?と既に批判されている。

「新幹線」は、外国にも輸出できる「システム込みの商品」だから、国益という巨大な目線でいえば、単純な損益計算では判断を間違えるけど、「リニア」は、ほぼ地球上で輸出できる対象地域がないために、国民負担となるのは決定的なのである。

東京=大阪間という「短距離」でも開通して営業運転を開始すれば、ざっと専用の大型原発2基(200万kW)を要するために、原発がない国でリニアは走行できないし、その高速度を維持しながら安全性を確保するには、全線で、専用線を敷設して動物やらのたち入りも監視しないといけない。

こんな条件をクリアできる国や地域が地球上に存在しないのである。

だから、インドでもアメリカでも、「新幹線」は欲しいが、リニアはいらないといわれてしまった。
国内専用のどうにもならない、将来「遺跡化」する可能性があるのが、リニアなのである。

では、そんな赤字や建設費負担をどうするのか?

国が負担しようが、JRが負担しようが、最終的に支払いをしないといけないのが、国民なのである。

東京の中心にある「国家の建造遺物」には、また、地方の県庁や市役所や公共の建物、例えば学校も、ぜんぶ、火災保険や地震保険に加入していない。

火災や地震で焼失したり、倒壊したりても、「大丈夫、国民が負担するから」という理由で、かえって保険料が無駄になると発想するのが役人の損得勘定なのである。

だから、ケインズが言ったように「有効需要創出のためなら、穴を掘ってまた埋めるだけでいい」ということが一人歩きして、今日も万博会場の建設は進んでいる。

もちろん、万博が中止になろうがどうなろうが、建てる側からしたら、どうでもいいことなのである。

請求書だけが、国民にやってくるのだった。

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