世の中は、「金価格上昇」と書きたてているけれど、金の販売社がかならずパンフレットに書く、「太古からの不変の価値」が本当ならば、「ドルや円価値の下降」が正しい評価になる。
そのドルに対しても「円安」だから、日本人が貧しくなるメカニズムは、このなかのどこかに潜んでいる。
約30年前、1グラム1200円だったのが、いっとき700円台までになって、これを底にしてとうとう1万円となったのである。
従来型の経済理論を、ことごとく否定したのがトルコのエルドアン大統領で、徹底したトルコ・リラ安政策を実施してきた。
しかし、3期目の昨年の大統領選挙で、対立候補との激戦となり、その政権基盤が「盤石」ではないと国際社会のしることになった。
どこでなにがあったのかはしらないが、3期目のスタートにあたって、従来型の経済理論を採用することになったのは、これはこれで世界をおどろかすことになったのだった。
しかしながら、トルコ人はトルコ・リラを使わないでドルでの生活になっているから、だからなんなのか?があるのである。
それでも紙面を埋めるために何でもするインチキで、トルコのインフレをトルコ・リラベースの論法でもっともらしい記事にして、中央銀行の利上げについても不可思議な解説をしている。
7月のインフレ率は、47.8%なのに、8月のトルコ中央銀行の利上げ後も、政策金利は年率25%でしかないのである。
これで、インフレ退治ができるのか?になるけれど、トルコ・リラをベースにした話なので、もはや話半分でしかない。
こんな国もある。
わが国は、「経済カースト」のなかでは、トルコよりは「まし」だとおもいたいが、完全にFRBの支配下に日銀が位置するから、その政策自由度においてはまさかのトルコ以下なのである。
これは、トルコが地図上で位置すること、つまり、地政学的に、ロシアの影響が避けられないことと関係している。
NATO加盟国なのに、EUには加盟できないトルコの中途半端さは、逆にトルコの政策自由度を担保させているのである。
あたかも、トランプ氏を徹底的に政治迫害してはばからなくなったことが、かえってトランプ氏の支持を深めて、過去最大の政治資金があつまっているように、トルコはうまくヨーロッパとつき合っている。
翻って、わが国のまずさは、徹底的にアメリカ民主党の分党のようにふるまうことで、その腰巾着ぶりを強化しているけれど、もはや「泥船」だと国民が気づきだしている。
とうとう、あのソロス財団(「オープンソサイエティ財団」)が、ヨーロッパからの撤退を表明し、従業員は全員解雇の対象となった。
どんなに資金をいれても、効果がないばかりか、かえって反発を生むことに気がついたようだ。
別の見方からしたら、トランプ潰しに集中する、という意味にもみえる。
また、BRICs首脳会議では、事前にいわれていた新通貨の話はなかった。
だが、現在の各国通貨の決済を加盟国間でより円滑にするためのシステムを構築する、ということが、新通貨のことだとすると、あんがい「まとも」なのだ。
これにはふたつの意味がある。
ひとつは、BISからの脱却を示唆するからだ。
もうひとつは、ハイエクの「通貨自由発行論」がイメージできる。
すると、わたしにはBRICs機構は、第二国連にみえてくるのである。
24年1月に新規加盟が決まったのは、イラン、サウジアラビア、エジプト、アルゼンチン、UAE、エチオピアの6ヵ国で、これらを加えた後のBRICs経済圏は、なんと西側先進国(G20)のGDPを抜き去るのである。
そしてなにより、サウジを中心とするアラブ湾岸産油国が、キッシンジャーが提案した、「ペトロダラー」からの脱却を決めたので、ドルの神通力が弱まること確実になったことが、わが国にも多大な影響を及ぼす。
何のためのアメリカ国債大量保有だったのか?だ。
また、BRICs新通貨が金本位制だという噂がもっともらしくながれたのも、石油本位の後ろ盾を失うドルへの攻撃だったとしたら、否応なしに金価格が上昇し(ドルや円の価値低下)が起きるのである。
すくなくとも、ペトロダラーを創設したキッシンジャー御大(御年100歳)が存命中に、その崩壊を目にして永眠するのか?それともすでになにか手を打っているのか?
一般人にはわからない。
ただ、1974年から半世紀で、大転換点をむかえていることはまちがいない。