とんちんかんな総務大臣の発想

大臣になると何でもできると勘違いするのか?それとも、最初から勘違いしているのか?不明だけれど、最初からなら、「勘違い」というのかも不明だ。
近代民主主義の政治環境、三権分立があるなら、「精神異常者」に分類されることになる。

NHKの受信料徴収に、郵便局員をつかえば、営業経費のなかの徴収経費が削減できると発言した。

確かにNHKの予算は、国会承認がひつようだから、事前に総務省の窓口と協議して、OKが出てからが正式な「予算案」となって国会に提出される手順となる。

しかし、本来の「行政権」は、NHK予算の中身ではなくて、あくまでも「手順」の遵守にある。
中身は、国会で審議するものだからである。
それなのに、国会側も越権だと怒らないのは、三権分立をしらないからで、また、役人が見たなら大丈夫だと、自らの役割を放棄するのが当たり前になっている。

これが、わが国の行政権が立法権にも及んで、総務省の窓口が、予算の中身に文句をつけて修正をさせる、という越権行為をふつうだとしている理由なのである。
それで当然に窓口の親分である大臣も国会議員の身分でありながら、NHKの経営に罪の意識なく介入できるのである。

マスコミのノーチェックもあって、国民もこれを、「異常」だと認識できなくなったから、歴代の総務大臣(郵政大臣時代から)は、NHKの会長を恫喝したりして、なんだか偉ぶることができる。
まさに、時代劇の、お代官さまと悪徳商人の密談のごとくである。

国民が、「NHK問題」とおもっているのはいくつかあって、そのひとつが、戦前からある「受信料制度」であることはまちがいない。
けれども、これには、放送局としての基本的なサービスである、「放送内容への不満」も重なっているのだ。

さらに放送内容は、質と量の問題に分けることができる。
「量」とは、放送時間のことと、放送(電波)帯割当がある。
そこで、NHKでは、BS放送とBSプレミアムの統合や、AMラジオを廃止して、FMへの統合をもって対処しようとしている。

この「自己改革」で、放送経費が削減できるという。
しかし、国民の興味をひろわないのは、肝心の「質」に手をつける様子がないからである。
つまり、国民はNHKが今以上に利益をだすことを求めているわけではなく、むしろこれを、儲け主義の「欺瞞」だと感じている。

アメリカ大統領選挙報道というひとつのテーマを例にしても、NHKの報道の質は、かなり劣っており、むしろ、一方的な価値観を押しつけるプロパガンダ放送と化したから、情報リテラシーがある視聴者は、これまで以上に契約廃棄やスクランブル化を求めだしているのである。

すなわち、放送法の履行(公正さ)を遵守させる、という意味でしかない総務省の行政権を、きちんと発動せよ、というのが国民要求なのであって、どうして受信料の徴収方法を大臣がいわないといけないのかの根拠は、そもそも「法にない」のだ。

すると、この大臣発言は、NHKの経営権に対する違法行為を平然と発言した、というニュースなのである。

そして、もっと深刻なのは、郵便局員の業務にまで及んだことである。
「郵政民営化」を圧倒的に支持したのは、たしかに国民であった。
小泉政権の地滑り的大勝利りよって、郵政省がなくなっただけでなく、ほんとうに「民営化」されたのだ。

これによって、日本郵政株式会社がホールディングス会社となっている。
このホールディングス会社は「上場」したものの、政府は相変わらず30%の大株主である。
ただし、傘下だった、「かんぽ生命」と「ゆうちょ銀行」の株式は、2017年10月から完全処分=民営化された。

よって、あいかわらずホールディングス会社が100%保有する、「郵便局」と「日本郵便」についての支配権は、政府が3割を確保しているともいえる。
けれども、裏返せば、7割は民間資本なのだ。

したがって、大株主ではあるけれど、総務大臣の発言は、民間企業に対しての、明らかに「暴論」といえるものである。
日本郵政株式会社の取締役は、大臣発言に対して「大株主の意向として尊重はするが、命令はできない」とちゃんとコメントすべきである。

マスコミのチェック機能があったすこし前の時代なら、こんな大臣は、「辞任」してもおかしくない。
こんなポンコツな大臣を、解任できない内閣首班も、「任命責任」をとりたくないから、とぼけるのである。

そんなわけで、政府と民意との乖離が日を増して広がっているのがわが国の現状である。
どうして機能不全になったのか?
根本的に掘り下げることからやらないといけない。

来年以降の喫緊の課題であって、かならずや解決しなくてはならないのである。
でないと、国の最期がやってくるのだ。

「砂上の楼閣」状態。

これはすでに、「外部経営環境」の危機であるから、企業経営者ほど敏感でないと、自社が危険にさらされることになる。

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