三重県の長島に行ってきた

市でいえば「桑名市」である。
といっても、2004年に「平成の大合併」という「文化破壊革命」で、かつての「長島町」が「多度町」とともに桑名市に吸収合併されたいきさつがある。

木曽三川という木曽川、長良川、揖斐川の河口部にある巨大な「中州」の「島」で、かつては七つの島があったから「ななしま」がなまって「ながしま」になった説と、濃尾平野をつくりだした三つの大河がつくる長大なことから「ながしま」になった説とがあるようだ。

どちらにせよ、「中州」であることにちがいない。
だから、この地に住むということは、「治水」あってのことになる。
海抜は「ゼロ」か「1m」、あるいは、「マイナス1m」という表記が電柱にある。

明治期に、四半世紀をかけて「木曽川三川分流工事」がおこなわれていまの「島」になった。
これを計画したのが、オランダ人技師だったというから、なるほどと「納得」する。

それにしても、よくもオランダ人を呼んできたものだが、島内のどこにも「オランダらしさ」が主張されていない。
長崎に「ハウステンボス」があるけれど、ほんらいならここが適地だったろう。

歴史上のエピソードでは、とにかく「伊勢長島一向一揆」として、織田信長を悩ませた「大乱」の舞台であり、皆殺しの激戦が繰り広がれた地であるが、「血の臭い」がするからか、このあたりも「淡泊」である。

織田軍は、どうやって「大河」をこえて攻めたのか?
守る一揆側はどうやってこれに抵抗したのか?
大河ドラマとは、このことだろう。

近年では、1959年の「伊勢湾台風」の被害地でしられる。
15箇所もの堤防が決壊して、街が水没しそのまま川となって、400名弱が亡くなっている。
このときの「水位」をしめすポールをみつけたが、はるか見あげる高さでおもわず背筋が凍った。

敷地を高くしている家もあるが、そうでない家がふつうに建っている。
スイス人なら、敷地を高くしないと建築許可をださないようにするのだろうけど、これは「オランダ式」か?はたまた「日本式」か?

島の西側から橋をわたれば「桑名宿」になる。
東海道五十三次のなかで唯一の船旅、「七里の渡し」(28Km)で熱田神宮がある「宮宿」とむすんだ。
東京湾アクアラインは15.1Kmだから、ざっと二倍の距離を「渡し」といっていいものか?

「桑名宿」と「宮宿」で行き先案内を、グーグルマップで検索すれば、伊勢湾の埋め立てと「長島」の関係がみえてくる。

「長島」のユニークさは、東西日本の境目、にある。
三川の西側を流れるのは揖斐川で、この川より西が「関西弁」で、「長島」は「尾張(名古屋)弁」になるから、橋をわたるだけでの変化がおもしろい。

カレーライスという国民食でみても、関西の牛肉、関東の豚肉という特徴があるけれど、なんと「長島カレー」は、中心のご飯をはさんで「牛肉カレー」と「豚肉カレー」の両方がかけてあるという贅沢さが特徴なのだ。

徳川四天王の本多家の居城が桑名城。
長島の対岸にあって、ほぼ島のまん中当たり、しかも、長良川と揖斐川の合流地点に位置している。
尾張徳川家の筆頭家老でもあったけど、「長島」を名古屋側からとで挟み撃ちできるようになっているのは、「一揆」の影響を無視できなかったからだろう。

桑名城のやや北側対岸に、「なばなの里」という植物園がある。
冬のシーズンは、イルミネーションで飾られることで有名だ。
近鉄長島駅からシャトルバスがでていて、乗客の半分とはいえ8人ほどが中国人だった。

かれらはバスチケットのクーポンを人数分もっていたから、グループ旅行だ。
もはや「団体旅行」から離脱したひとたちが、「珍しさ」をもとめてやってきている。

島の南端は「ナガシマスパーランド」。
周辺にはオリーブ園やスポーツランドもあって、アウトレットモールも隣接されている。
「なばなの里」もふくめ、おなじリゾート会社が所有している。

鉄道の乗り入れがないから、公共の交通手段はバス。
この「不便さ」が、「目的地」としての価値を、かえって高めているのは、施設内の温泉ホテルの宿泊料金をみればわかる。

名古屋からの高速バス運賃は片道1100円。
「泊まれない」ひとたちはどうする?
桑名のホテルが候補になるわけだ。
なぜなら、島内に宿泊施設が皆無だからである。

なるほど。

さてさて、帰路、交通渋滞に見舞われたのは、だれも気づかなかった「G20」が名古屋で開催されるための警備規制が原因だった。

このての国際会議を大都市でやる理由はなにか?
「地方再生」とか「創生」とかいうわりに、地方は無視されている。
はてさて、政府からみれば名古屋も地方都市扱いなのだろうか?

もしかしたら、芸術祭の意趣返しなのか?とうたがいたくなるのは、言い過ぎとしても、会議期間中の前後をふくめて、名古屋の交通は不便になること間違いない。

ならばと島や桑名にこもる人は、どれほどいるのだろうか?

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