制度がつくるデータ

「インフルエンザ」の場合には、「注意報」と「警報」が用意されている。
全国約5000カ所の定点医療機関を受診した、1週間ごとの患者数(「感染者数」ではない)を把握する仕組み(制度)ができている。

これと過去の発生状況をもとに、基準値をもうけて、各保健所ごとに注意報や警報がだされるのである。
それで、マスコミ各社は、注意報や警報の報道にあたって、40万人基準をもうけている。

だいたい毎年のインフルエンザの罹患者数は、1000万人で、そのうちおよそ1万人以上が死亡している。
だから、40万人を超えたところが、注意報の発令タイミングになるのである。

ざっと、国民の10人にひとりが罹患する勘定になっている。

ちなみに、インフルエンザの時期には、「風邪」も流行する。
こちらも、毎年およそ1000万人が罹患するから、ほぼ同時期に、2000万人がなんらかの症状を訴えて生活しているのが、わが国の秋から冬にかけての状況だ。もちろん、「風邪」の主たる原因は「コロナウィルス」であるが、おおくが「土着型」といわれている。

PCR検査は、「コロナウィルス」を特定するが、その内訳をしめすことはできない。
なので、新型か土着型かの区別は不可能だから、本当に「陽性」であっても、「診断」は医師が症状を診て決めることになる。

これが、「感染者数」だけで判断してはいけない理由なのだ。

ところが、わが国のマスコミは、インフルエンザの注意報の基準である「週40万人」の「患者数」ではなく、「1日40人」の「感染者数」から報道を開始した。警報は「週100万人」の「患者数」で出る。
「1万倍」もさば読み、かつ、週と日と、患者数と感染者数を「混在」させているのは、どういう「報道基準」によるものか?

「未知のウィルス」だから、という言い訳をしても、数字の表現は「あんまり」である。
しかも、統計的に間違った「図」をもつかっている。
それは、ふたつある。

ひとつは、「数」をしめす「Y軸」の目盛りに「対数」をつかわないことだ。
「パンデミック」とは、ネズミ算どころか、指数関数的に広がる状況をいう。

ひとりから複数人が感染し、これらのひとがまた複数人ずつに感染させるからである。
だから、「Y軸」をこれにあわせないで、「ふつうの目盛り」にすると、より強烈な印象をあたえるグラフになってしまうのだ。

もうひとつは、「累計」をいってはいけないのがルールだが、平然とこれをしめすことだ。
インフルエンザの注意報も、週ごとの数字ではあるが、これを「累計」はしない。

なぜなら、「ふえるばかり」にみえるからである。
累計をだすなら、治癒した数もしめさなければならないが、ふつう、患者は治癒したと医療機関に報告しない。
だから、余計な情報だというばかりか、不安をあおるだけになるのである。

今回の病気が収束したあと、わが国のマスメディアは、総じて厳しい批判にさらされることになるのは「確実」である。
国民から、信頼されない、という自爆を連日やっているのは、いかにも「愚か」である。

そのマスメディアに便乗しているのが「政府」や「政治家」なのだから、始末がわるいのだ。

さらに、わが国の医療機関が、初動における反応が鈍かったのは、感染者の受け入れにおける消極さが目立った。
「医療機関が赤字になる」という、診療報酬制度こそが、ボトルネックとなったからだ。

高齢化によって、ずいぶんと「医療」が、花形産業になるような記事が踊ったことがあったが、これぞ「ちょうちん記事」ではなかったか?

わが国のタクシー業界が、実質「国営」状態なのは、「Uber」が許可されるかされないか以前に、「料金体系」と「クルマの台数」が、運輸局によって定められている「業界」だからである。
すきな料金体系を届け出ればよい、ということではなく、当該地域の料金体系を国が決めるのである。

おなじ状態が、医療で、診療報酬制度というものと、薬価とでがんじがらめなのである。

官僚主義がはびこるEUでも、各国議会の議決は無視される。
EU委員会という、役人集団が決定したものを全地域に命じるからである。

そんなわけで、イタリアやスペインで酷いことになったのは、医療予算の削減が「医療崩壊」をまねいたといわれているが、「新型コロナ」と診断書に記入すると、診療報酬が増額されるという、EU委員会の「対策」が効いたようである。

なので、入院患者のだれかれにも「記入する」ということで、「パンデミック」になってしまった。
まるで「まんが」なのである。
ほんとうのところはどうだったのか?は、もう誰にもわからない。

「診断書」に記載されているからで、どれがほんとうの「診断」なのか?は、もはや「神のみぞしる」ところとなったのだ。
さすが、ラテンの血である。

ドーバー海峡の向こう側では、首相が感染する事態となったが、英国人からしたら、離脱していてよかった、と胸をなで下ろしていることだろう。

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