税の使い方を指定したい

確定申告・納税の季節である.
自分が納めた税の使い道にたいして,政治家が議会で議論して決めるのは伝統的なやりかただが,それが信用できないとなれば,税の使い方を指定したくなるのも人情というものだ.

会社法改正の議論では,社外取締役の割合をふやして,コンプライアンスを強化することが検討されているときく.
どうしてそんな議論をしているのかわからない.
わるい経営者が,かよわな従業員を痛めつけて利益をむさぼる,という19世紀的資本主義しか想像できないからだろうか?

おもえば,国家も地方も,公務員という従業員が専門家集団を形成し,選挙で選ばれたひとたちを事実上コントロールしている.
選挙で選ばれたひとたちは,議員といわれるけれど,国はこの議員から内閣ができる.内閣は,会社でいえば役員会だから,社外取締役の割合を増やすのは議員いがいから入閣させるようなものだ.元官僚が議員になって,入閣すると,民間であたかも社内昇格して役員になったようなものだ.
地方は,首長というひとが選挙で選ばれるだけなので,従業員が圧倒的ななかにひとりで乗り込むことになっている.

AI(人工知能)が発達すると,公務員という行政にたずさわる人びとのおおくの仕事がAI化して,人間がやらなくてもよくなる,といわれている.
「行政」というのは,「法令」や「条例」で決まっているから,というのが理由だが,それは欧米的民主主義の国に通用することではないか?

日本のように,「行政」が肥大化して,「裁量」が広範囲でおこなわれると,AIでほんとうにうまくいくのだろうか?と疑問がのこる,という議論がおきるにちがいない.
そもそも,役人の裁量が広範囲であることが問題なのだが,そのおかげでうまくいっている,と信じれば,AI化に反対するはなしになるだろう.

「役人の仕事はだれにでもできる」として,高官の政治任用をしている国がアメリカだ.
いろいろ話題がある第七代ジャクソン大統領のきめごとが,いまも「伝統」になっている.
政権がかわると,政府省庁の幹部たちの半分がいれかわる.

アメリカは法制度が,上書き式だから、幹部の役人を素人にしても行政がうごくのだろうし,日本の役所のようになんにでも口をはさむことはしない.
日本は,法制度の整合性をきちんととるから,新しいはずの法律も古い法律との「整合性」で主旨とはちがうことになったりする.
立法府の法制局は目立たず,内閣法制局が整合性をとる仕事をするから,行政が立法の上をいくのが日本のすがただ.

つまり,とっくに国会は眠っている.
その国会で,決めることになっている予算は,一般会計であって,特別会計は別物である.
こうして,特別会計は従業員である役人のすきにできるお金になった.
これが,役人天国の裏付けである.
中央のコピーが地方だから,全国津々浦々で,議会は惰眠をむさぼり役人がはりきっている.

役人がはりきると,それはかならず民間への命令になるから,ろくなことにならない.
わかっちゃいるけどやめられない♫
こうして,いつまでつづくぬかるみぞ.

だったら,自分の税金のつかいみちを指定したくなるではないか.
すくなくとも,年金など社会保障費にはつかってほしくない.
はやく,いまの社会保障制度をやめないと,社会保障のために社会が崩壊してしまう愚をおかすだろう.

国家を絶体に信用しない,ということだけは,お隣の中国人からまなべることである.

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