ブルー・ステートの共産化

今回の大統領選挙でもはっきりしたのは、北アメリカ大陸の両岸、東海岸と西海岸が、青い民主党の牙城だったということだ。
これらの地域とは、どういう地域なのか?
海があるから、外国との貿易が盛んな場所になる。

外国貿易には、国際決済がつきものなので、そこには当然、国際金融機能がないと成り立たない。
だから、自然と「グローバル」な発想になるのである。

いまはなき「文部省唱歌」といわれた分野の歌に、『海』がある。

海は広いな 大きいな
月がのぼるし 日が沈む

海は大波 青い波
ゆれてどこまで続くやら

海にお舟を浮かばして
行ってみたいな よその国

まさに、「ゆれてどこまで続くやら」、「行ってみたいな よその国」とは、グローバルへの萌芽であり発露である。
森林太郎(鴎外)作詞の、「横浜市歌」は、その格調高さゆえ横浜市民の愛唱歌であって、市民なら「君が代」をしらなくてもこの歌はしっている。

わが日の本は島国よ
朝日かがよう海に
連りそばだつ島々なれば
あらゆる国より舟こそ通え

されば港の数多かれど
この横浜にまさるあらめや
むかし思えば とま屋の煙
ちらりほらりと立てりしところ

今はもも舟もも千舟
泊るところぞ見よや
果なく栄えて行くらんみ代を
飾る宝も入りくる港

まさに、「グローバル賛歌」なのである。

横浜港の銀行といえば、かつての横浜正金銀行、いまの横浜銀行で、ずっと大蔵省のエライひとが天下っては「頭取」になる銀行であった。
地銀にして実力は都市銀行といわれたのは、地銀になったこと自体が「変だった」からである。

たとえば、シベリア出兵で兵以外の日本人が6千人以上暮らしていた、ウラジオストック支店とか、ハワイ支店もあったからである。ただし、このころのウラジオストックは日本領だった。
ちなみに、ウラジオストックあたりの極東ロシアの食卓には、赤いキャップのキッコーマン醤油がいまだに欠かせないのである。

子どものころから、他人と競争してきて、受験戦争というものの勝者がなるのが、「高級役人」だから、発想が攻撃的になる。
彼らの勝ったか負けたか、とは、自分の企画が通ったか否認されたかによって判断する。

それで、さまざまな「ねじりこみ」をする。
これが、政治家の開発利権と結合してできたのが、「全国一律」という発想である。

一方で、こうした「ねじりこみ」をしないのが、「自然体」を理想とする、「合気道」だ。
武道のなかにあって、唯一「試合がない」というのは、世界でも類例がない。ようは、勝ち負けがない。

これが、本来の「自由主義」の発想である。
この「自由主義」の自由は、自由放任の自由ではなく、誰からも命令されない「自由」をいう。
よって、自己責任を伴うのである。

誰かから命じられたことで、自己責任をとらされるのでは論理がおかしい。

こうした発想は、海があるかないかではないけれど、変化に乏しい内陸部に保存される傾向がある。
なぜかというと、海があると、内陸部より速く変化にさらされて、うまくすれば発展も速いからである。

そんなわけで、速く発展し、富が蓄積する好条件に見舞われるので、海がある地域では貧富の差が広がるようにみえるのである。
それが、横浜にもあって、山の手地区とドヤ街が、目視できる近所に並立するのである。

そうやって、政府による富の分配が社会正義になれば、社会主義が受け入れやすい環境となる。
長く、横浜市政が日本社会党によって行われた根拠でもある。

こうした地域が、もっとはっきりと巨大に現出しているのが、アメリカ合衆国の両沿岸地域なのだろう。これが、「民主党」の基盤である。
それで、取り残された内陸部が、「自由」をモットーとする共和党の地域になっている。

なお、アメリカの自由には、上述の自由と、強固かつ基本に「信教の自由」があることがわが国とのおおきなちがいである。

合衆国国旗にある、赤と青のラインにあるように、共和党は「赤」を、民主党は「青」をシンボルカラーにしている。
「ブルー・ステート」は、富の分配が社会正義だとする「州」なのである。
そのための政策は、わが国の「自民党」に近い。

むしろ、戦前、戦中、戦後の占領時代、一貫して20年も続いたのが、アメリカ民主党政権だったから、自民党の基礎がこれに倣ったといった方がよいのだけれども、民主党極左よりも過激なのが日本の自民党になった。
アメリカ人には、とっくに日本が共産国にみえるにちがいない。

この意味で、ふだん自民党の政策に文句をつけるマスコミが、アメリカ大統領選挙では、こぞって民主党を応援する「偏向」をみせたのはいったいどういうことか?

しかし、副大統領候補のカマラ・ハリス氏が選挙演説で物議をかもしたのは、「共産主義を礼賛した」からであった。
そもそも、彼女自身大統領選挙の民主党予備選で敗退したのは、その「極左」としての主張が、党員にも忌避されたからだった。

東洋の大国からの資金援助疑惑もあるなか、「ブルー・ステート」の民主党支持は揺らぎなく強固だった。
これは、将来、「ブルー・ステートの共産化」を意味するかもしれない。

南北戦争ならぬ、両岸と内陸の決戦があるかもしれないのである。
そのとき、わが国周辺はどうなっているのか?

わが国があれば、の話である。

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