空き家に住みたいけど

世帯数よりおおい新築住宅をどうして建てるのか?
ほんらいなら、単純に「儲かるから」なのだけど、人類史上例がない「マイナス金利」という初体験で、「とにかくつくってしまえ」というやけくそが本当の原因かもしれない。
発注があるからつくる、という順番をたどれば、建材屋がいちばん儲かるはずだがいかがか?

すると、発注したのに売れないということになると、たくさん売ろうとした目論見がはずれたことになって、そのうち大損するひとがでてくるはずだ。
しかし、あたらしく供給されている住宅は、あんがい都市部であって郊外ではない。
人口が減るなか、郊外から都市部への人口移動がおきているのはこのためとの指摘がある。

では、都市部と郊外の境目はどこなのか?
主要ターミナル駅から電車で20分、そこから徒歩15分内ぐらいだろうか。
ここから外が「郊外」となる。
この微妙な「エリア感」が、「過疎」をみとめないのだ。それは、都会のはずの「住所」地域があるからである。

市町村の仕事が整理されていないから、余計な商工課とか観光課があったりする。
70年代、「画期的」と賞賛された東京都中野区は、戸籍係や転入出の窓口をぜんぶ「1番」として、「1番」窓口がたくさんできた。
なぜ戸籍係がひつようなのか?なぜ転入出するのか?
「そこに住人がいるから」という結論から、窓口をまとめても手続きにくるひとが混乱しない仕組みをつくった。

全国各地の役所から見学者がたえなかったというが、中野区のやり方をマネした役所はとうとうあらわれなかった。
役人の仕事のやり方が変わるからである。
住人の利便性追求よりも、役人の仕事のやり方を変えないことを優先する。
50年前のはなしだが、今日ただいまぜんぜん変わっていない。

なんども指摘している『パーキンソンの法則』にもとづいて、わが国の役人の数も増え続けた。
「仕事量に関係なく、役人の数は増え続ける」のである。
そんなわけで、住民にとってどんな役に立つのかとは関係なく、役人の数はふえて、仕事もふえる。
ふえた仕事は、住民にとって「ムダ」だけど、「ムダ」な仕事で生活できるのは「天国」だ。

だれもが「天国」にいきたいから、いまやわが国の就職先で最高人気は「役所」になった。
これが「役人天国」の本質である。
そして、「指定管理者制度」という、役人が遊んで暮らせる「制度」もつくったから、仕事をしているふりすら忘れて、日がな一日時間つぶしに登庁している。

そんなわけだから、じぶんところの「住民の数」が、これからどうなるのか?の調査もしない。
「昭和時代」もまさかの「戦前」に策定した「都市計画」を、いまだに「基本計画」にしていることだってある。
へたに「審議会」が仕事をすると、じぶんたちに面倒がふりかかるから、お金をくばって「学会」を制御する。
こうして、研究費が喉から欲しい学者は、役人という「メフィスト・フェレス」に魂を売って、束の間の甘い夢をみるのである。

空き家は放置すれば「廃墟」になる。
住宅地に廃墟があると、路線価に悪影響するかもしれない。
さすれば「税収が減る」から慌てるかといえば、慌てるはずもない。
路線価を決めるのも役人だ。いざとなればカジノを誘致すればよい。

面倒なのは、近隣住民からの「苦情」だけだ。
たまに、仲間うちの「消防」からも文句をいわれる。
不動産屋は新築にしか興味が無い。
空き家を売って、あとからクレームをいわれるのが面倒だし、建物の専門家でもないからほんとうの価値がわからない。

過疎地なら、しかたがないので「空き家バンク」なる、ムダ仕事でお茶をにごせる。
ただし、住民間のトラブル対処はまっぴらだから、町内会や自治会の活動内容や、だれが地域のボスかは知らないふりをする。
こうして、移住者がネットに情報をばらまいて、田舎暮らしの地獄絵図が全国にひろがった。

リタイアを契機に、適当に不便かつ適度に便利な場所に移住をかんがえるひとはおおいだろう。
いまさらの「新居」に、虎の子退職金をぜんぶ使い果たすことができないからである
需要はあるけど、残念ながらほとんど情報がない。

相続が発生すれば、法務局と税務署はFAXで連携するのに、その後がない。
司法書士が遺族や家族と連携できないものかとおもう。
ほんらいなら、融資もふくめ、これぞ「地銀」のビジネスではないのか?

ついでに、リバース・モゲージ・ローンの設定でもしてくれないか?

いい空き家があれば住みたいけど、よってたかって、何だかなぁ、なのである。

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