ここ数日、プーチン大統領、ペスコフ大統領府報道官のふたりがほぼ同時に、「ウクライナ戦争」といいだした。
ロシアは、開戦以来「特別軍事作戦」といってきたのに、である。
そして、この戦争の相手は、NATOだと明言している。
これは、エスカレーションではないのか?
ロシアとは伝統的に微妙な立場にある、フィンランドでは野党の自由同盟代表のアルマンド・メマ氏の発言が注目されている。
「ヨーロッパがモスクワに謝罪するときがきた」
しかも、EUの外交部長(外務大臣)カヤ・カラス(元エストニア首相)を名指しして、「人口133万人しかいない国出身の者が、なぜヨーロッパ外交を主導しなければならないのか理解できない」と。
ちなみに、フィンランドの人口は、555万人(2020年で兵庫県は546万人)である。
かつてフィンランドはソ連の準属国(形式上は「中立国」)として存続したが、あろうことか2023年にNATOへ正式加盟してしまった。
『フィンランド化』を書いて、わが国もソ連の準属国になることを勧めた、戦後左翼知識人の代表格、加藤周一が草葉の陰で泣いていることだといいたい。
けれども、いまの西側の状況は、加藤の描いた空想が実現した姿なので、ソ連を否定するロシアと、ソ連化しているヨーロッパとを見比べてみたら、なんとも奇妙な事態になっていることがわかるのである。
それがもっと複雑化しているのが現代のアメリカ合衆国だ。
とりわけ、民主党が急速かつ激烈な共産化をはじめて、かつての「党内左派」が「右派」にみえるような状況になっている。
これを、伝統的な民主党の支持者が嫌い、これまた急速に共和党トランプ派に転向しているのである。
左派の単純思考から、「トランプがすべて正しかった!」が、熱烈な民主党支持者が転向した結果の迷惑なスローガンである。
こうした、個人崇拝の傾向は、左派ゆえの体質ともいえる。
ときに、どうしても強い指導者でないと国家の統一が困難な、多民族国家の集合体たる「ロシア」(国内に200以上の言語がある)は、いま、73歳のプーチン後をどうするのか?という難問にさいなまれるのが時間の問題なのである。
トランプは80歳になったが、後任とおぼしき人材は複数存在する(J.D.ヴァンス副大統領、マルコ・ルビオ国務長官など)のが、共和党トランプ派の強みなのである。
しかして、ニューヨークのマムダニ市長の行政手腕は、あってもなくても、破たんする運命なのは基盤が共産主義=全体主義思想だからである。
すでに、ウクライナは何時の時点で「降伏するのか?」となっているし、前にも書いたように、ポーランドやルーマニアも歴史的領土奪還のチャンスを虎視眈々と狙っている。
ウクライナというスターリンがつくったあたらしい人造国家の無理やりが、こうした反応を生んでいる。
にもかかわらずこれらの国の野望を、EUとNATOは制御できない。
なぜなら、英・仏・独ははじめからウクライナを植民地とみなして囲い込んだからだ。
ウクライナ人がどうなろうとしったことではない、これら冷酷な国は、ロシアへと続く利権がほしいのである。
これに、わが国も参加している。
それで、アメリカが離脱しそうなので、ノーコン状態になる可能性が高く、ロシアとポーランド、ルーマニアが、かつての「ポーランド分割」(帝政ロシア、プロイセン、オーストリア)のように、ウクライナを無視して分割することもあり得るのである。
7日と8日のNATOサミットで、トランプ大統領は、ロシアによる攻勢を容認した。
しかも、ベッセント財務長官が9日にCNBCで「経済戦争」を開始していると語ったと書いたように、英国金融貴族500年の世界支配体制をアメリカ財務省が新体制のFRBと一緒に攻撃していて、イランの政治家たちの「口座凍結」もすすめているし、中共の幹部がアメリカで保有している口座も、とっくに洗っているだろう。
この動きと、ロシアの「戦争」発言はリンクしている。
きな臭い表の戦争をロシアが担当し、壮絶な頭脳戦をアメリカが担当している。
それゆえに、偶然であろうがなかろうが、イランとはすでに「プロレス」だと書いたのである。
そのイランは、アメリカに「非公式に謝罪した」とのニュースがでたが、アメリカは「公式に謝罪せよ」という当然を貫いている。
ようは、EU=NATOも、とくにECBを対象に、アメリカ財務省が各国幹部たちの口座を洗っていつでも凍結可能にしている、ということだ。
アメリカ財務省が各国中央銀行に戦争を仕掛けている、のだから、わが国の日銀も対象になっていることは覚えておいたほうがいい。

