抜け駆けなのか、底が割れたのか?
ロシア制裁という茶番の一つの姿が、日本への天然ガス輸送に関する損害保険の継続適用だ。
もちろん、日本に住む日本人としては喜ばしい「事件」に見える。
ヨーロッパの愚鈍たちは、自滅のロシア制裁をどうしてやり続けるのか?という各国国民の疑問に、ぜんぜん答えていない。
それがまた、反動になって、反EUの勢力が支持者を増やしているのに。
もちろん、これをEUにやらせているのがアメリカ民主党バイデン政権だ。
何度も書くが、EUという国際機構は、EU委員会という官僚組織が、各国政府の上に君臨する建て付けになっている。
どういう立場なのかはっきりしない、「EU大統領」という欺瞞の役職もつくったけれど、「EU委員長」の英語表記「President of the European Commission」でわかる通り、こちらが真の大統領なのだ。
しかし、EU委員長は、加盟各国の国民による選挙を通じて選ばれているのではない。
つまり、その権力の源泉が、最初から邪悪なのである。
一方で、これも何度も書くが、EUをカネで支えているのは「ヨーロッパ中央銀行(ECB)」だ。
この組織も、加盟各国の中央銀行の上に君臨していて、「表向き」は、統一通貨ユーロの価値を維持するための施策を実行しているかに見える。
けれども、各国レベルのマクロ経済を、どうやって圏内経済としてのローカルに落とせるのかといえば、目に見えない「為替操作」をやるからだ。
つまり、各国中央銀行がやるべき為替操作をさせないことで、君臨しているのである。
ふつう、中央銀行が持っているオプションは、通貨量のコントロールで、そのまたオプションが、金利操作である。
これによって、政府が発行する国債の価値が決まる。
なぜなら、中央銀行が国債の購入を通じ(引き受け)て、市中銀行の中央銀行口座残高をコントロールするからである。
しかし、ヨーロッパはユーロという統一通貨にしたために、各国中央銀行はECBの支店に落とされた。
EUから離脱した英国は、市場としてのEUに未練たらたらだ。
その英国には、世界の保険の「再保険」を握る、ロイズがある。
再保険とは、保険会社が掛ける保険の引き受けである。
成り行きからできた「ロイズ」は、もとはコーヒーショップ(喫茶店)だった。
開業した場所が金融業の集積地でかつ、船員がいたために、気の利いた店主(ロイド氏)が街のビジネス情報を提供した。
そうしたら、保険屋たちが集まってきて海上保険の再保険投資が常連たちによってできたのである。
座礁事故や海賊の襲撃がふつうにあった時代のベニスを描いたのが、シェークスピアの『ベニスの商人』だ。
この喜劇(少なくとも作者は喜劇とした書いた)のそもそもは、とある船の積荷を買い占めていた人物が、座礁によって破産したことからはじまる。
それで、ユダヤ人商人が貸したカネの回収にあたっての要求と裁判が、この物語の白眉になっている。
もちろん背景には、キリスト教徒からみたユダヤ人差別が常識としてある。
生命保険は、被保険者が死んだら支払う、を前提とするけれど、損害保険は損害のリスク発生確率が前提となっている。
なので損害保険会社は、自社の儲けを確保した上での発生確率をもって保険料とするが、たまに外れ値的な事故が起きたら、やっぱり支払い義務を負う。
このリスクを再保険の対象にするのである。
つまり、顧客と契約する保険会社は、再保険を掛けられない保険商品を販売しない。
生命保険の外れ値も、長生きしないで逝ってしまうことだから、おなじように再保険の対象としている。
どちらも、確率統計が事業の基礎をなしている。
すると、海上運送で保険を最初に申し込む荷主は、再保険料も加味した全部の保険料を負担させられる。
これが運送コストに加算されて、そのまま流通価格なって消費者が全てのコストを負担する。
消費税とは、こうしたコストに対してさらに国が消費者から掠め取るものだ。
消費者は、所得税を取られた残りで消費生活をしているので、広い意味で二重課税になっている。
同じく、贈与税も相続税も、所得税の後からやってくる二重課税だ。
さてそれで、サハリンから出た天然ガスの日本への輸送分が、どうして再保険禁止のお目こぼしの対象になったのか?
わが家では年内で契約期限がくる経済新聞によると、なんでも日本国政府なかでも、資源エネルギー庁と金融庁が保険の継続を画策したおかげのような書き方で、いつも通り懲りずに国民を騙していないか?
日本の損害保険会社は、どこも再保険の業務をやっていないのだ。
生命保険なら、日本にも再保険を引き受ける会社はあるけど。
むしろ、ロイズがロシア制裁に賛同しているなかで、どこと再保険契約をしたのか?という肝心な情報が何もないのである。
まったく記事としては「速報レベル」で、役に立たない。
つまるところ、再保険禁止をかかげたロイズが引き受け手なら、日本にだけ抜け駆けを許したことになるし、ロイズ以外、ということになると、これはこれで「事件」である。
世界の再保険業界の、ほぼほぼロイズ独占が破られたことになるからだ。
もし前者なら、ドイツをはじめとした国々からの怨嗟の声となるだろうし、後者なら、今後ロイズからの逆襲(制裁)を食らうことになろう。
しかも、「ロイズ破り」をしたがる意思と可能性のある国は限られている。
一貫性を欠いた、自公政権のいいとこ取りが、貿易立国を支える我が国の「海運」を保険の根幹から破壊するかもしれない。
しかも、相手がクリスマス・ニューイヤー休暇での仕業なのだ。
おそらく、年初早々に、なんらかの動きが英国やEUからやってくるだろう。
これが今年最後の本ブログ記事になった。
皆様には良い新年をお迎えください。