ウクライナ前、プーチン氏は、世界経済フォーラムの年次総会に出席したので、「おや?」と思ったら、堂々とこの組織の批判演説をぶちかまして、言い終わるやサッサとモスクワに帰ってしまったのだった。
いま、世界経済フォーラムに堂々と反旗を掲げる政治家は、現職ならプーチン氏の他にみあたらない。
トランプ氏も現職のときに、批判して、落選の憂き目となったのである。
だから、世界経済フォーラムからしたら、ウクライナでプーチン氏に一矢を報いようと企んだにちがいないが、残念ながら、そうは問屋が卸さなかった。
このところになって、ようやく西側メディアもウクライナの劣勢・敗戦について報道するようになったのは、自己保身のアリバイ工作でもあるのだろう。
我が社は、真実を報じました、とウソばっかりをいいたいのだ。
さて、2015年からはじまった、ロシアが主催する「東方経済フォーラム」は、名前からして「世界経済フォーラム」への当てつけではないのか?
会場は毎年、ウラジオストック(「東方を征服せよ」が由来の地名)にある、「極東連邦大学」での開催となっている。
当然だが、毎回プーチン大統領も必ず出席している、肝いりの会議なのだ。
ずいぶん前に、新潟からウラジオストックへ観光旅行をしたことがある。
搭乗機は、ツポレフで、機体に錆があったのを覚えている。
鉄でできている飛行機に、はじめて乗った。
飛行時間は1時間半ほどであった。
当時のツアー・パンフレットには、「日本から最も近いヨーロッパ」とあった。
残念ながら、いまは、ウラジオストックに飛行機で行くには、なんとトルコ航空でイスタンブール乗り換えか、モスクワまで行って戻るしかない。
その後に観光で訪ねた、ルーマニアのブカレストの荒んだ雰囲気が、なんとなくこの当時のウラジオストックと似ている気がしたのは、まだ共産時代の残滓が残っていて、それなりの不気味さもあったからだった。
なにせ、ソ連極東艦隊の司令部があって、軍港としての機能が優先されていた、「閉鎖都市」だった。
なんぴとも、特別許可がないとこの街に入れなかったのである。
そんな特別感が残る地域なのに、食生活においての日本食、とくに醤油の普及は目覚ましく、料理店で醤油がテーブルになかったのは、ロシア料理店とウォッカのバーだけだった。
きくと、シベリア出兵で3万人の日本兵が駐留したときに、醤油も味噌も、海苔も普及したらしい。
鰹節が貴重なので、手軽なテーブル調味料として醤油が欠かせないものになったという。
さてそれで、プーチン氏はずっと、ロシア経済の発展の重心は、「東方:アジア」だと繰り返し表明してきている。
いわゆる、ウラル山脈の西側にある、モスクワやサンクト・ペテルブルクの地域ではなく、東側のシベリア以東だといっているのである。
果たして、国家が主導する大規模開発が有効なのか?という事に関しては、このブログでは否定的な立場にある。
なので、いかにプーチン氏の肝いりとはいえ、どうなのか?には慎重にならざるをえない。
すでに、先進国たるわが国では、国家によるイベントすら「なんなのか?」という事態になっていて、それが、「東京オリンピック」だったし、いま計画がヤバくなっている、「大阪・関西万博」なのである。
ただし、たかが2週間とか半年の期限あるイベントが、景気高揚をさせるのだとかんがえる方がどうかしている。
中国大陸では、事実上国が認めていた大規模な不動産開発が行き詰まって、えらいことになっている。
少しズレるが、ニューヨークやロンドンでは、コロナ禍で在宅勤務が普及したために、商業用・事務所用の賃貸物件が大穴を開けていて、これが商業銀行の経営危機にもなりそうなのである。
需要と供給の情報に敏感なはずの民間でも、大間違いを冒すのだ。
ましてや、国家をや。
「東方経済フォーラム」では、具体的な投資案件はさまざまあるようだが、インフラ系が注目されている。
北極海航路の開発で、最先端の砕氷船を建造する計画だという。
ずいぶん前には、潜水貨物船の構想があったと記憶している。
プーチン氏は、寒いロシアにとって、地球温暖化は喜ばしいことだと発言した「前科」がある。
北極海の氷が薄くなれば、地球儀を真上からみたら一目瞭然、当然にロシアには「地の利」となるのである。
日本が主導権を握るはずの計画だった、シベリア鉄道の高速化とは、鉄道線路の整備もあったが、貨車のコンピューター管理システムで、留置時間を大幅短縮する計画も込みとなる、兆円単位の大型プロジェクトだったけど、ウクライナで敵国認定されて、どうにもならなくなったのだろうか?
それとも、この計画は、日本との経済交流再開時まで「温存」したからか?、今回、プーチン氏は、シベリア鉄道には言及せず、サンクト・ペテルブルクまでの長大な高速道路の建設計画を発表した。
当然だが、シベリアの天然ガス田からは、ウラジオストックまでのパイプライン建設の計画もあるし、ナホトカには、世界最大規模の肥料工場もすでに建設中のさなかにある。
わが国が喰らったロシアからの、経済制裁で、化学肥料の原料輸出を止められたので、昨年から農業危機になったのである。
なお上記のそれぞれの個別案件プロジェクトには、しっかり日本企業が参加している光明がある。
マフィア化して世界経済フォーラムやらの全体主義・戦争屋に追随するばかりの日本政府(与党)は、日本経済の発展にも、世界経済の発展にもぜんぜん寄与しないアホさかげんを世界に露呈している。
こないだ、いまやスイス最大の大銀行UBSが、世界各国の資産増減統計を発表し、成長拡大したロシアに対して、こぞって西側は減少(最大の減少はアメリカ、次がEU)するという、プロパガンダする側には困った資料が話題になったものだ。
日本人も、ロシアに経済制裁をしていると思いこまされているが、本当はその真逆だと気づかないといけない。
なのに、間違いの最たるものでもっとも基本となるのは、「ソ連とロシアの区別がつかない」ことが、なによりも重症なのである。
まったくもって、テレビ・ドラマと現実の区別がつかないのと、おなじ病理なのである。