「ばっきん」ガム宮殿

「チューインガム」は、チューインガムの木からとれた「基剤」に甘い味をつけて、これを口内で噛むことで味わう菓子である。
いまでは、合成樹脂であるビニールが基剤になっている。
レジ袋撲滅運動には熱心だが、ガム撲滅運動は誰もしない。

噛むと頭がよくなる、というから、きっとレジ袋の有料化をうれしく思うひとは、ガムをたくさん噛んで、脳にビニールが行き渡った方もおおくいるにちがいない。

お菓子といえば「食べる」ものなので、子どものとき、味がなくなったらはき出すとはおもわずに、飲み込んでしまう経験を誰でもしたことがあるだろう。
のちに、ガムのような食感なのに、だんだん溶けてなくなる「飴菓子」も登場して、戸惑ったことがある。

ロンドンには有名な「バッキンガム宮殿」がある。
国王の住まいだが、はじめはバッキンガム公が建てたものを、王が買い取ったという歴史がある。

「ガム」がつくからといって、お菓子の「Gum」ではなく、Buckinghamの「-ham」とは「村」の意味がある地名となる。
噛んで含めて説明すれば、こういうことだ。

たまたま発音がおなじだから、日本語の「ばっきん」とかさなる。
ばい菌ではなくて「罰金」である。
ばい菌もつきまとうが、罰金もつきまとうという共通点がある。

日本人からほとんど退化した、英米型「自由主義」思想の立場からすれば、「税金」とは「罰金」であるとストレートにイメージするのが当然だとされている。

日本人のおおくは、税金を、払いたくはないが仕方がない、とおもってはいるが、まさか政府からの「罰金」とはおもっていない。
これが、「本家本元」のひとたちからすると、信じがたい「退化」にみえる。

では、念のため、罰金として税金を書き出してみよう。

・稼いだら罰金;所得税、法人税、地方税
・事業をしたら罰金;事業税
・事業所を持ったら罰金;事業所税
・持ち家に住んだら罰金;固定資産税
・買い物したら罰金;消費税
・タバコを吸ったら罰金;たばこ税
・酒を飲んだら罰金;酒税
・車を買ったら罰金;自動車税
・ガソリン燃やしたら罰金;ガソリン税、軽油税
・紙に金額書いたら罰金;印紙税
・金品を他人にあげたら罰金;贈与税
・死んだら罰金;相続税

ちなみに、一度課税されたのに再び課税するのを「二重課税」といって、近代国家では「しない」ことが決まりになっている。
わが国は近代国家ではないので、けっこう二重課税されているけど、従順な国民は文句をいって政治家に撤廃させるようなこともしない。

・「酒税」や「ガソリン税」などに対する「消費税」がやばい。
・所得税を払った後に購入したモノや、貯めたおカネに、贈与税や相続税がかかるのもやばい。

コロナ禍という社会情勢から、「リーマン級が来たら(見直す)」といっていた消費税の減税問題がくすぶりだした。

けれども、例によって「税率」ばかりが議論されている。

10%を8%にもどすとか、ならば軽減税率制度はどうするのとか、いや5%だとか0%、最後に「廃止」とか。

これは、政治家だから、政治の議論をしているので、消費税の議論をしているとはおもえない。
なぜなら、消費税には上述の二重課税問題もあるし、もうひとつ重要な、「課税標準額」があるからだ。

最初の3%だったとき、税率はそのままに、「大増税」されたことがある。
それは、「益税」ともいわれた、小さな商売をしている商店の課税標準額を、大幅に「さげた」ことで実施したのだ。

「売上」金額がすくないなら、一定の金額までなら「納税を免除する」、この金額を下げたことで、納税事業者が大幅にふえた。
つまり、消費税法に触らずに、大増税を実現した政府があった。
この施策で、全国の零細個人商店が廃業したのである。

すなわち、老夫婦がちんまりと小売店をやっていてはいけないから、罰金をとるという意味になった。
交通が不便な集落にとって、生活ができなくなるという意味での社会問題を、政府がつくる。

商店主の自由と、その地域住民の自由を奪う。

こうして、なんとか自立をはかっていたひとたちの生活を追いこんで、高齢者施設に収容することが手厚い「福祉」ということになった。

ねっちょりとして、ベタベタするガムでできた宮殿。
それが「日本政府」である。
国民には、罰金を課すことしかしない。
だから、「ばっきん」ガム宮殿、なのである。

これを維持するには、警察国家になるしかない。
あろうことか、「自粛警察」という「体制派」が出現した。
まことに、政府に都合がいい。

その政府は、諮問委員会という得たいのしれない組織に、経済の専門家というひとまでどうやってかしらないが加えることで、あらゆる問題に、このひとたちのいうことを聞くようになってしまった。

諮問委員会とは、どんな法的根拠があるのか?
いったい誰が、この政府の政策責任者なのかさえ、不明になった国だから、内閣も溶解したのである。

これが、「長期政権」の素顔だ。つまり、「虚無」。

政府がつかえるカネを減らすと、住みよい国になる。
だから、減税こそが国民の主権のしるしなのだ。

ただ、なんとなく動いているだけだから、だれにも止められない。
コントローラー不在のリモート国になってしまった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください