22日、やっとこさ英国のスターマー首相が、労働党の党首を辞任すると発表した。
この発表前にトランプ大統領は、英国首相辞任について、ふたつの失敗を指摘した。
・移民政策の失敗
・エネルギー政策の失敗
それでも、地方選挙での歴史的大敗がトリガーとなったことはまちがいないはずだが、マンチェスターの下院議員補欠選挙では現職市長で労働党党首選に名乗りをあげているアンディー・バーナム氏が勝利(55%)し、保守のリフォームUK(35%)とここから分裂したリストア・ブリテン(7%)が票を分けたことも影響したとみられている。
なお、国政で政権与党だった「保守党」の得票率はわずか2%であった。
わたしはこのニュースにデジャブ感がある。
万年野党と化してまったくの覇気をうしなった日本社会党の党首に、現職横浜市長の飛鳥田一雄が就任(1977年)し、党再建がおおいに期待されたことをおもいだすからである。
しかして、結果はいまのとおりである。
高度成長期の「いい時代」に、総評(事実上は自治労)が支持した飛鳥田は、なぜか市民にも圧倒的な人気であったが、それは借家住まいという清貧がまた上手に宣伝されていたこともあるし、小児麻痺の病歴に打ち勝った頭脳が買われていたのであった。
だが彼の本性は、社会党左派=マルクス主義=共産主義=全体主義の活動家、なのである。
いま、あえて飛鳥田時代を良い面として評価すれば、ゴミ焼却場の整備と火葬場の整備があげられる。
地元が反対して頓挫する可能性の高いこれら施設の整備に、左派からの強い支持があったからあんがいとスムーズに事業がはこび、現代の市民生活が維持されている。
もっとも、そのかわりに市職員の待遇はわが国でトップクラスとなる。
このあたりが、社会党、なのである。
ちなみに、「先進的=左翼的」なことをしたがる傾向は、ポピュリズムの自民党も同様で、左からの攻撃にあくまでも対抗する根性と頭脳がないために、ちゃっかりパクって「呑み込む」ことをしてきたら、とうとう自民党が共産党まで呑み込んでしまったのが、昨今の全体主義EU支持の体たらくとなっている。
横浜市はそれで役人天国の自治体としてトップランナーとなったのだが、これを社会党支持者が拡大再生産的に支持し、わからない一般市民も一緒になって「横浜市=飛鳥田」ではなくて、「飛鳥田のいる横浜市」となった。
社会党委員長になって空席となった横浜市長選では、バラマキと箱物の自民党が跡を襲い、日本経済の衰退以上の衰退をみせている。
市民生活でいえば、ゴミ出しはなんでも混ぜてよかったものが「分別」をあたりまえとし、名古屋市が証明した無駄な努力を意地でも継続中の無能があるし、膨らみすぎた人口で市営の火葬場は想定外の大混雑となっている。
もちろん、行政も肥大化して、JR桜木町駅に移転した市役所の威容をみれば、「無能の塔」としてそびえているのを、議員すら自慢する田舎っぺ集団なのである。
こうしたことを「前例」としていえば、スターマー政権とは、トランプ大統領がいうような「失敗」ではなく、すすんで既存の社会システムを壊すことに専念する思想(社会主義・共産主義=全体主義)をもって実行した確信犯である。
彼が辞任を否定しながら、「まだやることはたくさんある」というのは、まだ破壊が足りない、という意味だから、「取り憑かれている」といえるホラー状態なのである。
むろん、白人の英国(先住)国民にとってみたら、毎日がホラーだろう。
だが、イスラム系住民からしたら、この英国が中東でやってきたあらゆる破壊についての意趣返しとおもえるので、まことにおそるべきブーメランを喰らっている、ともいえる。
だから、名作『アラビアのロレンス』さえも、見方によっては複雑でかつ問題のおおい映画といえる。
なにせ、ロレンスは英国陸軍大佐に昇進するからである。
アメリカとイランとの仲介に熱心なパキスタンの深層心理には、対英国への深い恨みの感情があるにちがいないので、英国でパキスタン系移民がやった集団レイプ事件を検事総長だったスターマーが隠蔽したことも、英国を憎むスターマーの人生に重なる。
はたして、英国の国家目標とはなにか?をかんがえると、日本人からしたらこの驚くほどの身分社会では、「生まれた家」によって人生が決定づけられているので、支配層の絶対がひっくり返ることはない。
だから、キア・スターマーの出自(典型的な労働者階級)をみれば、一般的な英国人からみた「異常さ」がわかる。
この点で、マーガレット・サッチャーは、「中流階級」の出である「異常さ」はあるが、スターマーほど下層ではないことでの「保守思想」であった。
つまり、スターマーが取り憑かれてしまったのは、蟻地獄から這い上がったものの、勝者として貴族・身分社会に迎合するのではなくて、その破壊神にみずからなる、という覚悟であることはまちがいない。
この意味でも、飛鳥田一雄との類似がある。
ただし、それはあまりにも他の階級にとっては「痛い」破壊なのである。
対抗するアンディー・バーナムも、労働者階級からケンブリッジに入学する「異常」な経歴であるが、本人も「場違いな感覚」があったと告白している。
だが、おそらく、スターマー一家よりは上の階級にあたる人物だろう。
これが、スターマーよりも「マイルドさ」をだしている理由だととかんがえられる。
スターマーがリーズ大学に入った頃に「党員」となった(その後オックスフォードの大学院修士課程)のに対し、バーナムは15歳で入党しているから、イタリアのメローニに経歴がかぶる。
いまどきの日本人で中学を出て高校生になる頃に「党員」になるのはありえないとおもうと、なかなかの筋金入り意識高い系であることはまちがいない。
それでもって、英国はどうなるのか?は、不明としかいいようがないのである。
なにせ、極左労働党政権が続くことに変わりはないからである。

