「夏休み価格」の宿泊施設

今年の夏は暑い。
梅雨明け宣言が出たとたんに、猛暑がやってきた。
家にいると暑いので、ショッピングセンターのフードコートにある電源席にたたずむことにした。

近所ばかりでは飽きるので、いろんな「センター」に行ってみたら、「系統」によるそれぞれの特徴がみえてきた。
ショボいところから、贅沢なところと、バリエーションも豊富だけれど、利用者数のバラツキも観られるので、「地域特性」と客からの「選択」があるように感じる。

近隣に学校がある場合は、当然に生徒・学生が放課後にやってくるから混雑して、皆さんそれなりに「勉強」している。
このとき、電源をひつようとしない傾向があるパターンと、電源席から埋まるパターンがある。

いまどきは中学生も、iPadとiPhpneを駆使して各科目の勉強に勤しんでいるのを見かけるけど、一発で「眼精疲労」に苦しむことになったおじさんとしては、「若い」と感心しながら、「目を大切に」と思ってしまう。
あの姿勢で、数時間もやっていてよく肩こりにならないものだ。

もう自分にはできない、と思う侘しさもある。

いくらショッピングセンターに隠って、涼しい環境に身を置いても、帰宅すればタップリ蓄熱したコンクリートのわが家は、即座に冷房を稼働させないといけない。
夕方のそよ風を感じる外の涼しさとは無縁なのだ。

皆さんどうしているのか?
この団地に越してきてから、毎夏の疑問だ。
昨夜はとうとう、隣の棟に救急車がやってきた。
「室内熱中症」を即座に疑ったのだった。

数年前の猛暑では、あんまり暑くて耐えられないので、横浜中心街のビジネスホテルに避難したことがあった。
横浜公園で友人にバッタリ会って、「避暑にきた」と言ったら笑われた。
冗談だと思ったらしい。

まだ7月なのに、もう耐えられなくなってきたから、やっぱり「避暑」をしたい。
そこで、宿を探すことにしたら、目を疑う「夏休み価格」になっている。

まあ、コロナにやられて大変だったろうから、ここで取り返さないと、という事情もあるだろう。
一応、旅行やら移動制限による宿泊施設の「倒産」や「廃業」は、数百軒といわれている。

それに、東京を中心にすれば、まさかの「無観客」となったから、どういうわけか「オリンピックのために」ということで建てたホテルも当てが外れたことだろう。
ただし、たった二週間あまりの「大会需要」を見込んで、ホテルを建てる、という理由が信じられない。

一度建てたら、耐用年数は半世紀はある。
そんな長期的な営業をする宿泊施設が、オリンピックの「特需」だけの理由で建つものか?
デリバティブの対象としての、「紙の上の案件」になっているとしか思えない。

さすれば、これを、「転売」するのも「紙の上」になる。
そうやって、利用客や従業員は「二の次」にされるから、転売価格の査定が怪しくなるのだ。
なので、こだわった建築になることはなく、内装デザインがものをいう。

いつだって、文字どおりのスクラップ・アンド・ビルドの対象になる。
これが、街に与える影響も大きく、「エリア」という発想がない、わが国の都市計画とマッチして、遂にただのオフィスビルに建て替わったりするのだ。

そんなわけで、警備だけが厳しく、高速道路も割高(「来るな」というメッセージ)な都心には行きたくないから、どこか別の場所を探すことにした。

さてそれで、今度は古い避暑地のホテルである。
こちらはこちらで、「メンテナンス」という発想がなく経年劣化してきた「典型」と思われるところを発見した。
周辺の価格帯とはちがって、ずいぶん「安い」のだ。

一般に、宿泊施設は、目に見えない「サービス」に重点をおいた議論が盛んだけれど、それは、「ちゃんとした建物」があってのことである。
この「前提」を議論しないのは、「建築」とか「設備」とかの「理系」の話になるからである。

しかし、「経営」の話になれば、全部をひっくるめることが当たり前なので、なんだか偏った感じになってしまう。
それでか、なんでか、新築したホテルのオーナーは、メンテナンス予算とか、長期あるいは超長期の維持計画を作らないでいたりする。

今どきに「老朽化した宿」は、わが国が「工業大国」だった頃に建てられたものだ。
工業大国の工業大国たるゆえんは、「品質」にあったとはよくしられることである。

すなわち、新品ピカピカの建物に付随する「設備」は、たいがいが「工業製品」なので、その「品質管理」の徹底から、一斉に壊れるという傾向を最初からもっている。
例えばテレビとか、蛍光灯など、同時期に壊れたり切れたりするのは、稼働時間が同じなら、同じ品質なので壊れる時期も同じになる。

その巨大なシステムが、たとえば「空調」と「水回り」なのだ。

はてさて、「避暑地」なのだから、「空調」の不安はどうかはわからないけど、どんな「設備」が傷んでいて、これが資金不足という無計画のためになったのかを観察に行こうかと思う。

嫌な客である。

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