アメリカは台湾独立承認する?

昨年からの「矢継ぎ早」の「連射」である。

9日にポンペオ国務長官が発した一矢は、かつてない破壊力だ。
今回の声名で、アメリカ合衆国の公務員(軍をふくむ)に課していた、台湾当局者との接触規制を「撤廃」するという。
そして、もう一矢として、さっそく国連大使を台湾訪問させると表明した。

具体的には、「連絡ガイドライン」と呼ばれていた自主規制をさし、これを、「無効」とするように命じた。

そもそも、アメリカが台湾と「断交」したのは、1979年1月1日。
この年の4月にできた、「台湾関係法」は、この1月1日に「遡及」して発効させた、アメリカの「国内法」であるとされている。
これが、「北京」にとって、喉元に突き刺さった「魚の骨」となった。

トランプ政権が発足してから、台湾との関係強化は、「基本方針」となって、「政権末期」のいまになって、その仕上げ段階に近づいてきた印象がある。
「次期」政権には、このような基本方針は、「ない」ので、まさに今のうち、という意味にもなる。

つまり、「やり逃げ」だ。

国交がないけど、さまざまな「連絡」は双方で必要だから、アメリカは当該法をもちいて、「アメリカ在台湾協会」の事務所が台北に設置されている。
表向きは「民間」だけど、実質は、「大使館」である。

良くも悪くも、アメリカの「ポチ」になったわが国も、このやり方を真似た。
だから、「公益財団法人日本台湾交流協会(従前は「交流協会」)」が、同様の役割を担っている。もちろん、わが国の公務員(自衛隊ふくむ)は、台湾への個人旅行だって禁止されている。

従前「台湾」の文字がないのは、国民党独裁政権が、中華の「華」を入れた「日華交流協会」を要求し、日本側の「日台」案との平行線になって、この案を日本がはねた経緯がある。
当時のわが国には、「骨」が残っていたのだ。

しかしながら、「旧宗主国」なのに、台湾関係法にあたる法律を、わが国はいまだ立法していない。
これを、わざと「立法しない」のは、わが国の主体性だという、主張と説明がある。

つまり、「交流協会」は、完全に民間交流なのだ、と。

けれども、従前の「財団法人」だったときだって、「所管」は、外務省と通産省だった。
そもそも、「在台北日本国大使」が、そのまま「初代台北事務所長」になっている。

以上のような「詭弁」が通用したのは、アメリカも容認していたからではあるが、トランプ政権の「アメリカ・ファースト」という、「自国第一主義」は、各国が自分でかんがえて行動せよと促す思想であるから、様相が変わったのだ。

この発想は、きわめて「自由主義経済原則」に則している。
つまり、各国が自国優先をまっとうに推進すれば、そこにかえって「協調」が生まれるリカードの貿易論における原則をイメージしているのである。
だから、過去にあった「ブロック主義」とは一線を画す。

反グローバリズムの真骨頂はここにある。

すると、政権発足と同時に、TPPから「脱退」した意味すらも理解できるのだ。
わが国では、「アメリカの陰謀論」を、経済の専門家でも主張していたものが、一発で吹き飛んでしまった。陰謀の国がまっ先に脱退したからだ。

この当時の書籍は、この意味で、「とんちんかんの譜系」として、研究の対象になる。
おおくの「とんちんかん」を主張した論客たちは、いまも「健在」だ。
彼らは、「RCEP」に対して何と発言しているか?

さてそれで、台湾である。
わが国のマスコミは、アメリカにとって台湾はアジア太平洋地域にとって重要、と書く。
「最重要」は、わが国にちがいない、という「うぬぼれ」があるからだろう。

しかし、わが国にとって、台湾が最重要なのである。

このことは、アメリカ ⇒ 日本 ⇒ 台湾 という「序列」のことではない。
この3者は、トライアングルをなして、「一体」なのだから、全員がそれぞれを「最重要」というのである。

これに、オーストラリアとインドを加えた「連携」が、21世紀の安全保障の要、になった。
そして、この構想をたてたという安倍晋三氏が、昨年12月、トランプ政権から、『レジオン・オブ・メリット(軍事勲功賞)』が、インド、オーストラリアの首相と一緒に授与されている。

この勲章は、アメリカ民主党フランクリン・ルーズヴェルト大統領によってできたので、わが国のマスコミは、無視したい気持ちをおさえて、あっさり報じた。

インド洋の重要さはもとより、南シナ海をふくめた「シーレーン」の重要さに言及したのは、故中曽根康弘総理だった。
地理は変わらないけど、重要性が「増減」するのは、人間がつくる、「情勢」が変わるからである。

ユーラシア大陸の端に位置するわが国は、この「情勢」を無視できないばかりか、死活問題の根源である。
どこから物資がやってくるのか?
そればかりか、情報も、海底光ケーブルで行き来している。

衛星が主回路ではないのである。

コロナ禍で爆発的に増えた国際間通信量をまかなうために、海底ケーブル敷設船はフル稼働している。
これを、「守る」のも、海軍の重要任務なのである。

わが国直近でいえば、台湾海峡とバシー海峡が、「生命線」だ。
この両海峡の一方が、台湾だから、台湾の自由確保はそのまま生命線になるのである。

だから、台湾独立は、アメリカの生命線でもあるといえるのである。

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