ケミカルな本格料理店

むかし「中華料理店での食事」での「後味」のことを、「チャイニーズ・レストラン・シンドローム(中華料理店症候群)」といって、騒ぎになったことがある。
1968年頃からのアメリカでの話で、医学論文として発表されたのがきっかけだった。

原因は、「MSG:monosodium glutamate:グルタミン酸ナトリウム」の過剰摂取による各種症状で、頭痛、顔面紅潮、発汗、疲労感、顔面や唇の圧迫感などの症状から、喉の灼熱感、胸の痛み、動悸、息切れなどが挙げられている。

軽度なものは、飲み物を摂っても口中からヌルッとした「後味」が消えないでいる気持ち悪さがある。

これがいわゆる「食と健康へのこだわり」のブームになったのである。

しかし、その後の調査と研究で、MSGによる健康への影響は「ない」とされ、FDA(Food and Drug Administration:アメリカ食品医薬品局)も、「加工食品」を管轄していることを理由として、家庭やレストランでのMSG使用については「調査外」だと発表している。

こうしたことから、MSGの使用と健康への影響については、公的に「けり」がついている。

なので、以下は「私見」である。

MSGを世界で最初に工業化したのは、1908年(明治41年)の日本で、池田菊苗理学博士が創業した「味の素株式会社」であり、現在も味の素社は世界最大のMSG製造企業である。

MSGは、別に「うまみ調味料」としてしられているのは、池田博士が昆布の「うまみ成分」を発見してこれを合成することに成功したからだった。
人間の味覚を司る、「舌」にある「味蕾」で、甘味、酸味、塩味、苦味を感知していることはしられていたが、「うまみ」については不明だった。

しかし、「味蕾」にある「細胞」にグルタミン酸「受容体」が発見されたことから本格的に「味の構成要素」と認知されることになって、世界に「UMAMI」として拡がったのである。

じっさいに、ヨーロッパのスーパーでも「UMAMI」コーナーが独立してあって、たいがいその案内板には、日本語でも「うまみコーナー」と併記してあるから、見なれたヨーロッパ人には、「うまみ」の文字を見れば「UMAMIコーナー」だということがわかるようになっている。

日本における英語の看板をみて、なんら不思議でないのと似たことになっているのだ。
ただし、50音ぜんぶの文字をしっているわけではなくて、認識しているのは「うまみ」だけだというから、「図形」でみているのだろう。

それで、このコーナーは事実上の「日本食コーナー」になっている。
この意味で、日本人としては誇るべきことだ。

わたしが子供だったむかしは、なんにでも振りかけていて、その理由が「頭が良くなる」というものがあった。
商品名として、「味の素」なのか「ハイミー」なのか?どちらがより頭が良くなるのか?という問題が母や祖母たちの話題でもあった。

これは、「頭脳パン」という、ビタミンB1を加えたパンが人気だったのと似ている。
じっさいには、アメリカ産小麦の消費(輸入)拡大という目論見があったともいわれていて、「Mutual Security Act:MSA協定:日米相互防衛援助協定」と関係がある。

この協定は、「主権回復後」の1954年(昭和29年)3月に東京で調印したもので、同5月1日に発効した。
日本語に「防衛」の文字が入っているから、軍事面のことだけだと早とちりしてはいけない。

後に続く「援助」の文字が「みそ」なのである。

とくに食糧難からの脱却という大義名分を理由に、小学校の給食にパンと脱脂粉乳が採用されたことに注目すると、前にも書いたマクドナルドの戦略にある、子供のときに味を覚えさせること、が白昼正々堂々と行われたことの、基礎となる国家間「協定」なのである。

つまり、同年にできたアメリカ国内法の「農産物貿易促進法」があってのこの「協定」なのだ。

わたしは学校に行くのは楽しみで、皆勤賞を何度ももらったけれど、給食だけは大嫌いで、そのために母が参観日でもないのに毎日のように呼び出されていた。

あのパサパサなコッペパンと、えらくまずい脱脂粉乳は、どうしても食べられなくて、毎日泣いていた。
高学年になってから、脱脂粉乳が牛乳になってようやく食べられるようになったのである。

そんなわけで、わたしの妹は脱脂粉乳をしらない世代の最初である。

「スキムミルク」も脱脂粉乳のはずなのに、どうしてかくも味がちがうのか?
あとからしった驚愕の事実は、アメリカで豚の餌用だったものを「援助」してくださったことだった。

つまり、わたしたちは、「豚扱い」されていたのである。

なお、アメリカ人の名誉のために加えれば、とっくに共産化した民主党とは別に、敬虔な清教徒系のひとたちも多数いて、「豚の餌」を大量に輸出していることに気づいた市民が、日本人は豚肉を大量に食べているのに「飢餓」とはなんぞや?と憤ったのである。

しかし、「人間の子供が食べている事実」をしって、その「飢餓」の深刻さに驚き、全米での募金活動になったという話もある。
これには、戦死した米軍兵士の親も加わったと。

それから、「米あまり」で、給食に米飯が出るようになったころには、もう高校生になっていたから、どんな味の給食なのかはしらないでいる。
しかし、よくよくかんがえれば、「米あまり」とは、小麦(パン食)シフトの「成果」なので、アメリカからは「協定」の成功になる。

さてそれで、「暑気払い」といえば「焼き肉」だという条件反射で、家内と市内有名焼き肉店に予約して行ってみたら、初めて注文した「水キムチ」の味が、異様に強い「うまみ」で変だな?と感じたのである。

これが決定的になったのは、いつもはたどり着かない「シメ」で注文した、ユッケジャンクッパが、まるでケミカルな味なのだった。
おかげで、1日経っても口中の気持ち悪さがなくならないばかりか、お腹の調子も悪い。

本当に、健康への影響について、「けり」がついていると信じていいものか?

そこで、「韓国語会話」の教科書に、以下の例文をみつけた。
이게 맛있다고?      MSG 맛     밖에      안     나는데?
イゲ マシッタゴ?     MSG マッ パッケ アン ナヌンデ?
これがおいしいって? うまみ調味料の味しかしないけど?

「本格的焼き肉店」とは、こういうことだったのか?

近くの席についた、韓国人一家には小学生もいたけれど、オレンジジュースだけを飲んでいて、ほかには一切箸をつけなかった。
おとなはさかんに「食べなさい」といっているようであったのに。

やっぱり子供は、味をしっていて防衛本能が働くのかもしれない。

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