サウジとイランの国交正常化だってさ

「合従・連衡(がっしょう・れんこう)」は、くっついたり離れたりすることを繰り返す、政治的策略をさす言葉である。
元は、『戦国策』(春秋・戦国時代:紀元前770年~紀元前221年)という、「史書」のなかにある。

中国(大陸のあの国は、世界の中心を自負していたので、近代まで「国名」がなかった)の古典は、わが国を含めた東アジアや東南アジアに多大な影響を及ぼしたのは、影響を受けた側からの話である。

残念ながら、現代の彼の国の政治体制における、教育、では、ほとんどカリキュラムのなかに、「古典」はないために、意図的に古典をしらないひとたちの国にしている。

これには、「簡体字」(1964年から採用)にしたこともその意図がある。

漢字のオリジナル文字が、「読めない・書けない」状態をつくったのだ。
韓国では、「ハングルだけで漢字廃止」(1968年)した決定の引き金だ。

これで、両国は、専門の学者以外で、漢字を読み書きできる人物がいなくなったので、過去の書籍が読めないから、自動的に「焚書」したも同然になった。
わが国でも、GHQによって、漢字の簡略化と使う文字数の制限(「当用漢字」は1964年)それに文章表現として、旧仮名遣いを改めて、現代仮名遣いにしたのと、その目的はおなじなのである。

簡単にいえば、これら三国には、国民の「愚民化」という共通の政治目的があるのだ。

それで、あたかも、「受験戦争(科挙)」を演出して、教育に熱心な様相を作り出して、さらなる「愚民化」をカムフラージュしている巧妙がある。

もちろん、これら三国の、「表向き」の理由に、本音の愚民化をいうはずもなく、逆に、国民負担の軽減、という、便利な言葉で誘惑して、平然と文化破壊をするのである。

歴代王朝が採用した「科挙」は、この点で、「古典」に知識を求めていたから、いまの浅はかな教育内容とは、雲泥の差なのであるし、科挙を明治まで採用しなかったわが国では、「生きるための教育」をしっかりやって、それがまた近代国家の素地になったのである。

教えるべきを教えず、習うべきを習わせないで、余計な知識だけを詰め込めば、それが社会的地位を得る近道だと仕向けることの悪意は、まったくもって悪魔の所業なのである。

ただし、その「愚民化」のなかから、受験エリートを採用するしかなくなったので、社会のあらゆる面で、劣化が止まらない。
こうして、為政者も愚民になったので、そのむき出しの欲望を国民にみせても動じない厚顔無恥になったのである。

そんなわけだから、革命世代から3代目・4代目ともなれば、指導者層も古典をしらないものを、あたかも「本家・本元」だと信じて疑わないのは、江戸の儒者たちが「唐(から)・天竺(てんじく)」に憧れたのとおなじなのである。

昨年の大晦日をもって、わが家では学生時代からとっていた新聞購読契約を終了したのは、前に書いた通りである。
そんなわけで、大々的な一面トップニュースだった、「イランとサウジアラビア、外交正常化で合意 中国が仲介」(11日付け)に気づくのが遅れた。

この手の扇動的な記事は、その見出しだけで読む気がしなくなるものだから、購読をやめたのだけど、チラリズム的に無料で読める電子版の範囲をみても、やっぱり読むに値しないのを確認して、この新聞を通勤電車の中で熱心に読んでいるサラリーマンには酷だけど、脳が破壊されるぞと注意を喚起したくなる。

13日付けの、「JETROビジネス短信」が参考になるかとおもったが、さすがJETROという、無能の機構に、国民が役立つ情報はあまりない。
注目すべきは、冒頭の、「7年ぶりに外交関係を正常化させる」という点にある。

あたかも、「国交の正常化=中東の緊張緩和」としたい、新聞記事よりは「まし」ではある。

つまり、この両国は、7年前まで国交は「あった」のである。
だからといって、7年前までの中東は、緊張緩和の状態だったのか?といえば、ぜんぜんそんなことはない。

むしろ、その後のトランプ政権がやった、アラブ諸国とイスラエルの平和条約締結が、よほどこの地域、ひいては世界の安定に貢献した。
これを再びオバマ時代のごとき混迷の状況に戻したのが、まさにオバマ政権で副大統領だったバイデンの仕事になったのである。

いま、サウジを率いているのは、バイデンがいじめ抜いていた、若き王子、ムハンマド・ビン・サルマーン王太子殿下だ。
彼を、「皇太子」という、用語の濫用も注意したい。

英国のチャールズ3世を、「皇太子」といっていたのも、用語の濫用で、なぜに放送コードに触れないのか?
サウジは帝国ではないし、英王室もローマ帝国につながる血筋ではないから、あくまでも「王国」なのだ。

そのサウジは、バイデンのアメリカを嫌って、ウクライナ問題ではロシアについた。
石油の取り引き決済には、これまで「米ドルだけ」に限定していたが、どういうわけかバイデンのアメリカとEUが、ロシア制裁と称して、ドル決済システムの「SWIFT」からロシアを締め出した。

資源がある側を、資源がない側が制裁するというトンチンカンをやって、ロシアはルーブル決済を決めて、サウジは人民元決済を許したのである。

アメリカ・バイデン政権の自虐は、ドルの独占を壊してしまったので、わが国がせっせと貯め込んだ、アメリカ国債保有の意味が、薄れるというコペルニクス的転換がおきている。

ならば仲介した中国に有利なことはなにか?を問えば、イランとサウジの石油を得るということに尽きるけど、どちらも強烈な「宗教国家」で、無神論の共産主義・全体主義とは、絶対的な「水と油」なのである。

すると、いまアメリカ議会でも落ち目の激しいバイデン一家に対する、退場勧告がその意味するところだとかんがえるのが妥当なのである。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください