中東は発展させず放置する

カダフィーは悪だったのか?

リビアがどんな国だったかをしる日本人は、少ないとおもう。
わたしがエジプトに暮らしていた、80年代前半は、エジプトとリビアは緊張関係にあった。
それは、エジプトがサダト時代に、親米に転換したからで、反米のカダフィーにとって、「アラブの裏切り者」という烙印を押されたからだった。

サダトが暗殺されたのは、1981年の10月6日で、それは「第四次中東戦争開戦日記念」の軍事パレードから抜け出た一隊によって実行されたのである。
わたしがエジプトに赴任したのは、1983年の5月のことで、前の年の夏休みに、大学から研究費を貰って人生初の海外旅行として1ヶ月間エジプトを旅した翌年のことであった。

すなわち、サダト暗殺から1年も経っていない時期の、ムバラク政権発足直後に、エジプトを旅したのであったが、厳戒のはずのシナイ半島まで足を伸ばすことができた。
もちろん、その1年後にもならないで、今度は「赴任」するとは思ってもみなかった。

さらに1年後には、大学の後輩がリビアに赴任して、その特殊な国の様子を聞くことができた。
カダフィーの演説は、熱狂的な民衆の声援のなかで行われているような「映像」をみせられていたが、実態は広い駐車場に30人ほどが集まっているのを、上手に撮影しているのだと聞いて、高校時代に観ていた、BBCのナンセンス番組、『空飛ぶモンティ・パイソン』の場面を思い出した。

ヒトラーが窓から熱烈な演説をして熱狂的な民衆の声援が聞こえるが、カメラを引くとそこは誰もいない駐車場で、助手が手回しレコードで大観衆の音を再現している間抜けな光景であった。

しかし、そうはいっても、リビアやカダフィーをバカにできないのは、遊牧の部族で構成される「国民」の識字率も低く、これら部族社会をまとめるのが容易でないことは、いまのリビアをみればわかるし、国としてのリビアの悲劇は、とくにイタリアからの侵略の歴史が物語るのである。

最近になってカダフィーの政策が評価されているのは、中央銀行が珍しく「国営」であったこと(じつは世界で唯一だった)と、石油も「国営」であったことで、彼はドルでなく「金(Gold)決済」を主張していた。

それに、アフリカ共同体も構想して、アメリカとヨーロッパによって「なぶり殺し」にされたのである。

この様子を衛星画像でリアルに観ているヒラリー・クリントン国務長官が、その死の瞬間に歓喜した映像が公開されている。
その異常さに、邪悪の権化たるオバマ大統領すら、「楽しむべきではない」とのコメントを発表し、これが報道される(ロイター、2011年10月26日)ほどだったのである。

軍産複合体(戦争屋)の代理人、クリントン夫妻の、その凄まじいまでの欲望が、みごとに表現されたのは、「ついうっかり」だとしても、とても常人の神経ではないのである。

ただ、これ以前(2006年12月30日)に、イラクのサダム・フセインが処刑された経緯とを比べると、酷似していることもわかるのである。
少なくとも、フセイン政権は、石油を「国営化」したのであった。
それに、イラクという他民族国家をまとめていたことでは、カダフィーとおなじなのであった。

こうしたことを、それぞれの国民目線からどうかんがえるのか?が改めて問われだして、それが「再評価」になってきている。

ましてや、トランプ政権がまとめた中東和平を破壊しているのも、民主党バイデン政権だから、オバマ・ヒラリーの間にいたバイデンからしたら、われこそが軍産複合体のためにある、と雄叫びをあげているのであろう。

つまり、伝統的な「帝国主義」の保守を、アメリカ民主党がやっていて、EUも日本もこれに従っている構図なのである。

ゆえに、中東は発展させずに放置することが、武器商人の利益を最大化するのであって、これを阻止するトランプをなんとしてでも排除したいのだ。

この意味で、トランプ氏とその「MAGA運動:Make America Great Again」は、伝統的帝国主義に反対する、アメリカ破壊運動なのだ、という論理があるのは頷ける。
ただし、いまどき「帝国主義:奴隷制」に喝采を送ることに抵抗がない、左翼とは何者なのか?と改めて問えば、ファッションとしての左翼で、ただのカネの亡者だけなのである。

それでかなんでかしらないが、バイデン一家の売春・人身売買ビジネスの証拠隠蔽もかねてか?あの、エプスタイン氏の個人スケジュール帳に記載がある人物名が突如発表されて、現職のCIA長官の名前もでてきた。

驚くほどの「効果」が、連邦下院の調査の威力として注目されるのである。
敵は、とうとうあからさまな「裏切り」で、保身に走っていて、崩壊間近なのである。

盤石に見える体制ほど脆いもの、とは、サダム・フセイン、カダフィーが教えてくれたことでもある。
敵は内側にいる、これが歴史の鉄則なのだ。

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