人間はなにを食べていくのか?

「Eテレ」なんてゆるいことをいわない、かつての「NHK教育テレビ」には、気合いの入った『人間は何を食べてきたのか』という『教育テレビスペシャル』という「スペシャルな番組」があった。

このシリーズは、なんと1985年から1994年までの9年間にかけて放送されたのだ。
中学生から視聴したら、大学を通り越して社会人になってしまうほどの長丁場である。

横浜にずっと住んでいて気づくのは、横浜中心部の衰退(たとえば全国に10店舗しかない「アップルストア」が370万都市にない)があるものの、図書館の充実(蔵書410万冊)だけはひそかに自慢できる。
ネットで予約すれば、最寄り駅の行政サービスコーナーでも受け取れて、返却場所も好きに選べる。

地方都市では、「図書館連携」という「手」があって、近隣とネットワーク化しているけれど、申し込んでから貸出までのスピードがちがうし、運搬コストもちがう。
それに、電子図書館が「著作権」によって阻まれる「愚」がわが国にはあるので、おなじ地方税を負担しても、受けるサービスは残念なことになる。

「Amazon」の電子書籍「Kindle」の「ファミリー共有サービス」は、アメリカ本国でとっくにやっているのに、わが国では許されない。
家族間の端末なら、購入した電子書籍を共有できるのだ。
個人を優先する思想がある資本主義国と、供給者を優先する思想しかない国家資本主義国とのちがいがここにある。

その、国家資本主義国の思想を地でいくのがNHKだから、ヘンテコな平等思想まであって、「アーカイブス」された番組を観たくても、「受益者負担」だといって、またまた料金を徴収するのである。
これが、独占禁止法に引っかからない政治の貧困もある。

そんなわけで、横浜にある「放送ライブラリー」が素晴らしい。
この施設は、「放送法」に根拠をおくわが国唯一の放送番組専門アーカイブ施設で、利用料は「無料」である。

図書館のように、窓口で観たい番組を申告すると、ブースが指定されて、そこで視聴できるのである。
視聴にはヘッドホンを使う。
なお、「放送」だから、ラジオ番組も対象になっている。

ここで、冒頭の『人間は何を食べてきたのか』シリーズの全編を観ることができるのだ。
しかも、無料で。
息抜きに、『ドリフの8時だよ全員集合!』を観れば、大笑いできる。

デカルト以来、「機械論」に染まった感があるのは、医学や栄養学の「専門家」がテレビに登場して、病気にならない食事や食材を語る情報番組があふれているからである。
これを食べるとこうなる、と。

でも最後にはかならず、「バランスある食事をとりましょう」になるので、観ていた時間がむだになる。

問題なのは、「バランスある食事」なのである。
学校給食で、「食育」をいうようになって久しい。
でも本当は、戦後の食糧難による、青ばな垂らした「欠食児童」対策とアメリカが持ちこんだ「パン食普及(小麦消費の習慣化)」のためだったから、いつどのタイミングで「バランスある食事」を習うかがはっきりしない。

家庭科でカレーを作るのはいいけれど、ほんとうに人生を健康に生きていくための役に立っているのか?
無理やり「禁煙条例」をつくって、大のおとなに対して「禁止ばかり」の社会にするより、よほど重要な知の注入が必要なのだ。

しかし、これがまた、ヘンテコな思想と合体して、「サステイナブル」とかとはじまるから、学校教育が信用できなくなってくるのだ。

人間を含めて、この地球上の生きもののほとんどが、主に「炭素」を食べている。
三大栄養素の筆頭、小学校の「デンプン質」とは、中学・高校では「炭水化物=糖質」になる。
その炭水化物とは、英語で「carbohydrates」つまり、カーボン「炭素:c」だ。

三大栄養素のあと二つ、「たんぱく質」と「脂質」も、分子構造の基礎をなすのはぜんぶ「炭素」である。

こんなことも無視して、「低炭素社会を目指す」とかといえる発想がどうかしている。
こういうひとたちは、「質量保存の法則」も無視しているのだから、文明人ではない。

むかしのSFでは、すべての食事がサプリメントになるという話がたいそう出てくる。
必要な栄養素だけを無駄なくとることが、未来の食事にみえたのだ。
しかし、そんなものばかりになったら、胃や腸管が不要になってしまう。

半世紀前の日本人といまを比較すれば簡単で、柔らかいものばかり食べるから「アゴ骨が退化」して卵顔になり、消化がいいから腸が短くなって「脚が長くなる」のだ。これから「うりざね顔」になるのは、ハプスブルク家の歴代当主の肖像からも予想できる。

サプリが食事になったら、想像上の「火星人」やらの宇宙人とは、地球人だったということになる。

しからば、「寸胴短足」ゆえの衣装が「きもの」だったし、寿命が短くても健康であった。
身体が健康だからこそ、精神も健全になる。
コロナで社会がめちゃくちゃくになったのは、身体の健康に自信がない「ひ弱さ」ゆえ、精神も衰弱したのである。

これからなにを食べていくのか?

キレないためには、食事や栄養に関する知識が必要な時代になっている。

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