妄想が暴走するTSMC問題

衝撃的な経済ニュースだ。

5月21日、「半導体戦略推進議員連盟」設立総会で、会長の甘利明衆議院議員は、「ジャパン・アズ・ナンバー・ワン・アゲイン」と気勢を上げた。
しかし、たった10日後の31日、経産省は「台湾の半導体大手・TSMCと連携して日の丸半導体復活」を発表したのだ。

またまた「経産省」である。

こないだは、600億円を投じた「海上風力発電」を「断念」して、血税を「海洋投棄」してしまったのに、またなにか企んでいる。
巨額の損失といえば、三菱重工の経営が傾いた、ジェット旅客機の開発失敗にも当然ながら絡んでいた。
それに、コロナと同じく「国家的詐欺」の前例となる、太陽光発電がある。

失敗しかしない、世にも珍しい組織が「経産省」なのである。

わが国経済の「柱」は何本かあるけど、「健全」な柱はもうない。
第一が半導体。
第二が自動車。
第三が住宅・家電。

家電は、経産省が音頭をとった「家電リサイクル法」で台無しになった。
自動車は、経産省が音頭をとっている「電気」と「水素」で、「内燃機関」の世界王座の座から引きずりおろされようとしている。
そして、今回、とうとう半導体産業の「末期」が宣告された。

「台湾」と聞くと「大親日」だと骨髄反射するひとがいる。
偉大なる、岩里政男(李登輝)氏のイメージが、ハレーションを起こしてしまうのだ。

台湾の複雑さは、その「帰属問題」にあるように、国際法上の確定がされていないことに象徴されている。
大陸の大国は、自国における「台湾省」だと主張してはばからない。
しかし、(元)大日本帝国の合法的領土だったのが、戦争末期のどさくさで、蒋介石の国民党に乗っ取られてしまった。

この「乗っ取り」について、GHQは反応しなかった。
それで、蒋介石と国民党は、「中華民国」を建国してしまったのだ。
そうやって、日本人だった台湾島民に中国語を強要し、日本語の使用を禁じた。

いま、ウイグルや南モンゴルで行っていることを、国民党もやった。
そして、「白色テロ」と呼ばれる、島民への殺人をふくむ暴力をもって弾圧した。
「血は争えない」ようなことを、両岸の統治者たちはやっている。

そんなわけだから、台湾は外部からの支配者と、内部に残るしかなかった(元)日本人の二重構造になっている。
日本人の国際的な「定義」は、日本に住んでいて日本語を話すひとのことだから、中国語を強要された時点で、台湾人は日本人でなくなった。

そしてさらに、大陸との「交流」が、中共と同じ穴のムジナである国民党政権時代に活発化して、台湾企業の「中国化」も進んだのである。
その典型が、「TSMC」なのである。
ただし、この会社は、いま、半導体シェアで世界市場の半分を占めている。

なお、「中国化」とは、中共傘下の企業、という意味である。

日本経済が絶好調だった80年代、絶好調の理由をつくったのが、日本の半導体製造企業たちだった。
ときに、世界シェアの9割を独占した。
円高によって、それから、台湾と韓国に「生産移転」したのである。

しかし、日本企業が移転したのではなく、事実上「技術移転」した。

これが、現在の台湾経済と韓国経済を支えている。
そして、これらの国に、ひとりあたりGDPで抜き去られてしまったのが、わが国なのだ。
つまり、日本人のいまの「貧乏」の原因の一因がここにある。

その「技術移転」を懲りずにまたやろう!というのが、今回の「妄想」であって、経産省のいつもどおりの「暴走」なのである。
しかして、これを「ジャパン・アズ・ナンバー・ワン・アゲイン」といって推進する政治家たち。

この努力をすると、国民はいまより貧乏になる。

すると、われわれは、国民をどんどん貧乏にする政治家をよろこんで選んでいる、という姿になる。
阿呆なのは、政治家や官僚だという前に、絶対的阿呆としての国民がいる。
これぞ、民主主義の「最悪パターン」なのだ。

すると、絶対的阿呆の国民は、その阿呆加減を最大化させて、「こいつなら」という淡い期待を「誰かに集中」しだすものだ。
古今東西、古代ローマの共和制から帝政への移行とか、最先端の民主国家ワイマール憲法の共和国がヒトラー政権に移行するとか。

はたして、わが国には国家としての「持続可能性」があるのかが疑わしくなってきた。
それが、新生児の激減になって「数字化」された。
マスコミがいう「コロナが原因」は、疑わしい。

「将来不安」が最大の原因だろう。

でも「コロナが原因」が都合がいいのは、国家依存をうながすからである。
たとえば、憲法における「緊急事態条項の新設」とかがそれだ。
欧米のようにもっと強力な「私権規制」をして、コロナをとめる必要がある。
そのためには、日本国憲法の改正がいる。

政府に都合のよい論法である。

こんなことより、「東アジア有事」のほうが理由としてよほど筋がいい。
何年後かしらないが、わが国が大陸の大国の一部になったとき、チベットやウイグル人、モンゴル人のような憂き目にあうことを「最悪」として想定することができるのか?

絶対的阿呆の日本国民には、無理かもしれない。
そんなことを、「極右」といわれる、都知事選に二度出た日本第一党の党首、桜井誠氏が発言している。

わたしは「保守」を信用しないが、正論ではあろう。

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