横浜市長選挙公報を読む

来週の日曜日(22日)が、注目の横浜市長選挙投票日である。
一週間前の15日に、「選挙公報」がポストにあった。
わが国最大の人口373万人都市である。
アメリカ最大の州である、「カリフォルニア州」の人口(372.5万人)とほぼ同じだが、横浜市の方がやや多い。

ふつうの「国家レベル」の州と同じ人口だから、「都構想」どころではない、権限があってもよさそうで、国から「独立」してもアメリカ人なら納得しそうだ。
そこで、欺されないように、しっかり「読んで」みようかと思う。

まず、立候補者は8人である。
左上段は、無所属、おこのぎ八郎(前国家公安委員長)
右上段は、所属記入なし、山中竹春(元横浜市立大学特命副学長)
左二段目、所属記入なし、福田峰之(元内閣府IT・科学技術担当副大臣)
右二段目、所属記入なし、林文子(「現職」の記入なし)
左三段目、所属記入なし、松沢しげふみ(前参議院議員、元神奈川県知事、元衆議院議員)
右三段目、無所属、田中康夫(元長野県知事)
左四段目、所属記入なし、坪倉良和(経歴不明)
右四段目、無所属、大田正孝(横浜市議11回当選)

全候補者が所属政党なし、推薦政党も記載がない、という特徴が印象的だ。

8名中の3名が「無所属」と記載しているのが妙に「新鮮」なのである。
すなわち、「政党色を払拭したい」という、意図が「鮮明」なのだ。
政党政治が崩壊したといわれている、昭和7年の「5・15事件」から思えば、約90年ぶりになる「崩壊ぶり」だ。

だが、「前回」よりもっと深刻なのは、「軍の反乱」でもなんでもなく、単に「自壊」していることにある。
「自民党」であろうが、「立憲民主党」であろうが、政党のカンバンが選挙に不利になるという表現は、「政党政治の終わり」を告げているのである。

それどころか、自民党が推薦して二度も当選してきた「現職」も、現職の自民党総裁が実質的に推す「前大臣」も、あわせて「無所属」だから、「決められない政治」の象徴にもなっている。

このことは、何度も書くが、自民党も立憲民主党も、「近代政党ではない」からである。
近代政党であれば、本選挙前にかならず「党内予備選挙」が行われるのだ。
すると、現職の市長と前職の大臣が、党内予備選挙で闘って、勝利者が政党公認の候補になる。

この仕組みは、アメリカ合衆国では「常識」だけど、アメリカが作った戦後のわが国で採用されなかった。
むしろ、これによって「自民党一党独裁政権」が永続できる理由にもなっている。

しかしながら、今年の1月31日に「事件」が富山で起きた。
なんと、富山市長選挙にあたって、自民党富山県連は「党内予備選挙」を実施して、6人の候補が立候補した。
これは、「わが国初」の快挙なのである。

それから半年、横浜市に自身の選挙区がある菅総裁には、お膝元である、自民党神奈川県連に、「富山に倣え」という指導もなく、旧態依然たる体たらくを晒したのである。
このことは、「野党第一党」の立憲民主党にもそのまま適用できる。

さてそれで、今回の横浜市長選挙は「カジノの賛否」が第一の争点になっている。
各候補の「公報」では、どう表現しているのだろうか?

・おこのぎ八郎氏は、「IR誘致は完全に取り止め」。
・山中竹春氏は、「カジノ(バクチ)誘致を即時撤回!」。
・福田峰之氏は、「IR誘致と起業・創業の支援」。
・林文子氏は、記載なし。
・松沢しげふみ氏は、「カジノはNO!」。
・田中康夫氏は、「カジノは地元経済に寄与せず」。
・坪倉良和氏は、「山下ふ頭を食のパークに」なので、曖昧。
・大田正孝氏は、「カジノ断固反対!!」。

以上から、8人中、反対が5名。賛成が1名。1名が微妙な態度で、もう1名が記載なし、となっている。
注目は、「カジノ推進」を表明した現職が、「選挙公報」では、ただ一人「ノーコメント」を貫いていることにある。

このひとの「リコール」は成功しなかったけれども、その理由が前回の選挙で「白紙」と明言していたのに、突如「推進」を言い出したからであった。
曖昧な態度が一番都合がいい、という学習をしたようである。

最近は「世論調査」も恣意的なので信用はできないけど、市民アンケートにおいて「カジノ反対」は圧倒的ではある。
それにもかかわらず、ただ一人「賛成」をいう福田峰之氏は、それなりに「目立つ」のは間違いない。
投票のターゲットに、「市職員票」という大票田をおいている作戦か?

そこで、「大きい政府」か「小さい政府」で区分してみよう。
・大きい政府(社会主義):おこのぎ八郎、山中竹春、福田峰之、林文子、松沢しげふみ、田中康夫が挙げられる。

なお、自民党以外の「政党渡り鳥」である松沢氏は、「横浜市独立で分権国家を実現!」と「州化」を叫ぶが、「禁煙ファシスト」として、どこか全体主義のアメリカ民主党臭がする。

ちなみに、この「アメリカ民主党(全体主義)臭」という「腐臭」がする政治家なのに、このところ何故か「保守系」からの大いなる期待を集めているのが、高市早苗氏である。
わが国保守の「知能は低い」といわざるを得ず、彼女の能面がかった高笑いが不気味に想像できるのだ。

・小さい政府(自由主義)は、坪倉良和氏の「企業経営者としてもの申す!」と、大田正孝氏の「減税」が直線的である。

あれもこれもと「足し算」が有効だった、成長の時代はとっくに終わった。
これからは、「引き算(役所依存からの脱却)」と「自由(規制緩和)」の時代なのである。
それが、アメリカ共和党保守派的政策の「王道」だ。

すると、なるべき候補者が一気に絞られる。

けれども、都知事選のように「有名人」に票があつまるんだろうなと、予測するのである。
そうなると、法定得票数を誰も得ず「再選挙」になるかもしれない。

「カジノ反対」だけで、当選はできないのである。
決定打は、第二の争点、「足し算」か「引き算」かなんだけど。

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