「2円」のために失う「自由」

「仰天するニュース」というのは,天変地異いがいめったにあるものではないが,消費税率を10%にしたばあいの「軽減税率」適用のために,コンビニなどのイートインコーナーを廃止せよという命令を国がするという記事をみた.
目を疑うとはこのことだ.

100円の飲料なら,いまは8%の消費税率だから,「108円」.
10%になっても,飲食料品には軽減税率が適用されて,いまの「8%」がそのまま据え置かれることになってる「はず」とおもっていたら,「飲食する場所」によって税率がちがうという「珍奇」なことを政府が本気でやるという.
差額は「2円」である.

つまり,店内のイートインコーナーで飲食したら,軽減税率の適用はしない,というお国の嫌がらせである.
どこの誰が思いついたかしらないが,精神を病んでいるひとの仕業としかおもえない.
レストランとの違いを「区別できない」というのは,ふつうではない.

こんな馬鹿げたことを想定した問答集を,国税庁がちかくだすというから,わが国の生産性が上がらないのである.
国税庁職員の業務のムダに,イートインコーナーのスペースのムダ.
もし,このスペースを改修するなら,店舗を一時閉鎖しなければならない可能性もふくめてのムダもある.工事費と工事中の売上機会損失である.

しかし,そんなことよりも,あきらかに大問題なのは,レジをとおして支払が済んだものは,購入者に絶対の所有権があるはずで,それをどこでどう処分(この場合は飲食)しようが,所有者の勝手である.

もちろん,他者の迷惑をかえりみないような「処分」ではいけないが,それが店内であろうがなかろうが,所有者の自由であることにかわりはない.
ましてや,この議論の対象は,飲食スペースとしてすでに店が用意したイートインコーナーなのである.

なんのどんな権限で,営業の自由ともいえる範囲に命じることができるのか?
たとえ税を徴収するという,崇高な目的であっても,自由の侵害が許されるものなのか?
そんなことはありえないだろう.

ふだん,国防上のことで意見がかまびすしい「憲法学者」は,どんな見解なのかうかがいたい.
本件は,他国からの侵略や自衛についてかたる以前の,「国民の自由」にたいして国家権力の介入そのものではないか.
日本国が保障する「基本的人権」が,風前の灯火状態になっている.
まさに,あってはならない暴挙である.

弁護士資格を有する野党第一党の党首は,「景気悪化懸念」を第一の理由にして消費税率の引上げに反対すると発言しているが,とんちんかんも甚だしい.
ちゃんと法律の勉強をして,本当に司法試験に合格したのか?を問いたい.
あんたの専門は経済じゃなくて,法律だろうが.

人権について熱心な,日弁連もどういう見解なのか?あらためてうかがいたい.
イートインコーナーの廃止命令は,あきらかに人権問題ではないか?
社会的弱者や,不法移民の擁護が対象ではなく,一律,日本国に住む「人間の自由」の蹂躙である.

消費者は負けてはいけない.
バカにするな,と.
「2円」を惜しむ貧乏人は店外で食え.
イートインコーナーは,レストランか?日本から「豊かさ」がうばわれてゆく.

食品は,生活必需品のトップである.
150年前の日本なら,8割以上の国民が農民だったから,食べ物は自分でつくっていた.
いまは,たったの5%が一次産業従事者である.
だから,どこかで購入しないと,生活が成り立たない.「食っていけない」とは,食品を買うことができないという意味になった.つまり,生活ができない.

そんな食品だけは特別にしよう.
これが,「軽減税率」の趣旨だったはずだ.
繰り返す.
購入した食品は,購入者本人の自由処分の対象である.
それを,どこでならよくて,どこでならダメだと,役人が決めて命令するはなしでは絶対にない.

これを「馬鹿げている」と阻止しない国会議員は,自由を憎む全体主義者である.
まさに,本件以上の「踏み絵」はない.
なにがあっても,反対しない議員は,次の選挙で落選させなければならない.
日和った者も同罪である.

こんなことが許されるなら,「蟻の一穴」となって,わが国は地獄に落ちてしまう.
なんと恐ろしいことか.

とうとうこの国は,政府によって基本的人権が犯されるまでに追いつめられた.

政権は,憲法改正を「悲願」というが,いったいどこをみているのか?
民主主義・主権在民の憲法とは,「『国民から』国家・政府への『命令書』」なのである.
これをもって,憲法を「最高法規」という.
だから,憲法を守らなければならないのは,唯一「公務中の公務員」だ.

命令書をだした主権者たる国民は,公務中の公務員の仕事を監視する役目を最高裁判所にあたえた.

このままでは,この国は,「三権分立」してはいないことがバレてしまう.
すなわち,「近代国家」ですらない,ということだ.

わたしたちは,とんでもない国に住んでいる,かもしれない.

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