プロパガンダのレジ袋有料化

わが国で当代最高のプロパガンダのプロフェッショナルといえば、世耕経産相である。
前にも書いたがこのひとは、小泉政権時代の自民党広報の責任者で、国民の大半をしめる「B層」に対する戦略で、「郵政選挙」を大勝にみちびいた実績がある。

「B層」とは、知能が低くマスコミ報道に流されやすい人びとを指す、と定義されている。

論功行賞で、とうとう経済産業大臣にまでなったが、経済産業政策のあるべき姿ではなく、経済産業政策の広報にしか興味がないのだろう。
つぎつぎとでてくる経済産業省の政策の失敗をものともしない不遜な態度は、麻生氏のそれと同様、国民はバカだと断定しているからできるものだ。

消費税増税は、消費税法という法律の改正をひつようとする。
しかし、おどろいたことに、レジ袋有料化は関係省庁の「省令」改正「だけ」で対処するということだ。

これは、香港の事態を招いたことより「悪質」ではないか?

昨日、香港騒乱でいっとき審議が延長されたが、そもそも「議会」での議論と決議による手続きをひつようとしたもので、行政府長官の一存ではきめられない。

しかし、ひろく国民に負担を強いる「レジ袋有料化」を、役人がかってに決められる「省令」とは、まさに、ファシズムである。

これに加担するマスコミの堕落も、「B層」を相手にしたプロパガンダのお先棒をかつぐものだ。
それで、国連からわが国の報道に自由がないというなら、マスコミこそがダブルスタンダードだ。

みずからすすんで政府と一体の報道しかしないのは、ジャーナリズムの放棄であって、政府広報誌に積極的になろうとする態度だと断言できる。
もはや、民間の広告が激減し、従来からかわりがない政府広報予算でしか、マスコミも自社の売り上げを確保できないのだろう。

レジ袋を「プラスチック製」と書くのは、まったくナンセンスだし、それでプラスチックゴミの削減が見込める、という筆致の妙。
優秀な文系ならではの文章ではないか。

これとおなじ説明が、太陽光発電が「エコ」だというはなしだった。
その太陽光発電も、とうとう科学の原則に抗えず、経済産業省が完全破たんを宣言した。

そもそも、レジ袋がゴミでできていることをすっかり忘れてしまっている。
それに、スーパーで販売されているゴミ袋も、レジ袋とおなじ材料(ポリエチレン)で、こちらはもちろん有料である。

有料のゴミ袋と無料のレジ袋をおなじ店であつかっているのだから、店は無料をやめて、有料のゴミ袋を買ってもらいたい。
数回しかつかえないけれど、家庭ゴミをすてるゴミ袋になるのだから、レジ袋ほどエコなものはない。

けれども、産業優先、という「国是」をいまだに推進しているのがわが国官庁の基本思想だし、それが官庁の「利権」にもなっているから、二重に手放す理由がない。

「環境」という分野にもちゃんと「利権」がうまれたから、環境庁が環境省になった。
この省庁も、環境にいいことではなくて、省庁の役に立つものが「環境にいい」という定義になっている。

それで、科学を無視するのだが、研究予算というおカネで科学者を買収し、御用学者を生産するさまざまな役所がやってきた手法で、レジ袋削減は環境にいい、ということにした。

水をたっぷりふくんだ「生ゴミ」が「燃えるゴミ」で、石油製品からなる「プラスチックやビニール類」が「燃えないゴミ」という定義も、小学校の理科で説明できるものか?

できないから、社会科で説明する。
おとなはいろんな事情から「理解できる」が、子どもにいろんな事情は通じないから、ちょっと気を回す子どもなら、悪魔的に「どうして燃えないものが燃えるゴミ」で、「よく燃えるものが燃えないゴミ」になるのかがわからない。

そう聞かれれば、おとなの先生だって「合理的」な解答をもっているわけがないから、「社会のルールだ」というしかない。
こうして、社会に不信感をもつように育てられているのがいまの子どもの不幸である。

小学校には立派なパソコンが設置されているが、いまどきなら家庭にもパソコンはあるし、小学生がスマホをもっている時代だ。
それで、生ゴミをどうして燃やしているのかをしらべれば、重油やガスを燃やして焼却炉を高熱にするから、水が蒸発して燃えてしまうのだとわかる。

横浜市はご丁寧にも、分別収集した「燃えないゴミ」という定義の、よく燃える物質は「燃えるゴミ」と一緒に焼いていません、といっているから、ふつうなら燃えるはずのない「燃えるゴミ」のために、たっぷり資源である重油やガスをつかっている。

それに、燃えないゴミをどうやって処分しているのか?中国が輸入禁止してからも情報統制は厳格につづいているからわからない。
全量が「リサイクル」利用されていると信じるひとはいないだろう。

社会見学で、ゴミ焼却場を訪問すれば、おとなが丁寧におしえてくれる。
だったらさいしょから「燃えないゴミ」と一緒に焼いたら、投入する重油やガスの量が減って「エコ」ではないか?という素朴な疑問がうまれる。
これを、とっくに「無害」だと証明された「ダイオキシン」が発生するからと説明したら、もうスマホ検索の習慣がある小学生は薄ら笑いをうかべるだけである。

そんなわけで、オリンピックにあわせて世界に「日本のすごさ」を発信したい、と、国民はぜんぜん望んでいないのにこれをやるなら、やっぱり戦前とかわらぬファシズムの反省がない国だと、またまた難癖をつけられても、こんどこそ反論できない。

プロパガンダでしかないゆえの必然である。
世耕氏は危険人物である。

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