かつてわが国が「世界の工場」であったとき、1965年に倒産しかけた「東芝」の苦境は、当時、世界最高の真空管技術に拘泥し、トランジスタからはじまるIC時代に乗り遅れてしまったことにあると巷間いわれてきた。
それから10年程後の、1976年に、ソ連の最新鋭戦闘機MIG25で函館空港に亡命してきたのは弱冠29歳のベレンコ中尉であった。
そして、日米が解体して得たMIG25の頭脳たる電子機器が、「真空管」によっていたことが判明し、とくに驕り高ぶったアメリカ軍は「笑止」とバカにし尽くしたのであった。
しかし、ソ連のその冷徹な設計思想の凄みとは、電磁パルスに対応した技術だったのである。
核爆発の問題点には、どの高度で爆発させるか?がある。
宇宙で爆発させるほど、電磁パルスによる甚大な被害が発生し、地上の電子機器のほとんどが壊滅するのである。
すなわち、ネットワーク社会は一瞬で終わり、社会インフラの電気・ガス・水道(上・下水道)の供給サービスも瞬時にとまる。
つまり、原始時代になる。
唯一残るのは、「真空管回路」なのだ。
防衛に徹する、という観点からなら、国土強靱化とは、真空管への転換が基本なのである。
国家だけでなく、企業も、個人も真空管への転換をどうするのか?
現代で、真空管が生きているのは、ほぼオーディオの世界だけで、マニアが支えている分野である。
むかしから、真空管のアンプがいい、とされたのは、その増幅回路が「偶数次倍音」という人間の耳に馴染む特性からであった。
デジタル音響機器だと、「奇数次倍音」となるから、キツい音に聞こえるのである。
「倍音」は人間の歌手で一部のひとが表現できるのだが、あの「美空ひばり」は、「整数次倍音」と「非整数次倍音」の両方ができるために「稀有な歌手」なのである。
そんなこんなで、日本のメーカーがオーディオ向けにあたらしい真空管を開発した。
こういうものに政府(たいがいが無能な経産省)がカネと口をだしては、失敗に導くものであるが、「オーディオ」なる地味さが幸いして、国家による余計な介入がなくてよかった。
しかし、社会インフラ向け、となると、お呼びでないのにしゃしゃり出るであろう。
昭和の成功を研究したら、しっかり「金融機関」が支える必要があるのだが、その金融機関を金融庁が破壊している。
トランプ政権2.0は、なんとかしてFRBを国民の手に戻したいとの闘いをやっている。
むろん、「ロイズ」もしかりの見えない金融戦争をベッセント財務長官にやらせている。
これに自民党・維新の高市内閣は、知らぬ存ぜぬを貫いているのである。
それで、まったくムダなイランに連絡して、「ホルムズ海峡封鎖に遺憾の意を表する」パフォーマンスをしかもようやく今どきになってやったりして、国民を誤魔化しているのである。
いまやわが国は、「国産充電器」でさえも作れない「かもしれない」国になっている。
はたして、国産真空管はできるのか?

