1日、トランプ大統領は自身の「Truth Social」に投稿して、ヴィレッジ・ピープルのヴォーカル、ヴィクターウィリス氏が74歳で亡くなったことについての追悼文をあげた。
トランプ選挙演説ツアーの最後にかかることが定番だった『YMCA』のヴィレッジ・ピープルのことである。
このコメントに、おおくの「反発」が寄せられている。
まず、この曲が「30年前」のものだというまちがいの指摘である。
1978年の発売だから、「計算できないのか?」という反応である。
ちなみに、わが国で西城秀樹がカバーして歌った『ヤングマン』は、翌年の1979年発売である。
この曲が映画で使われた、織田裕二主演の『卒業旅行−ニホンから来ました』(1994年)は、なんと「VHS」でしか入手できない。
じっさいに、この映画のなかでの扱いもすでに「懐メロ」となっていた。
しかして、オリジナルの曲およびグループは、いわゆる「ゲイ」であって、当時のアメリカで「YMCA(キリスト教青年会:Young Men’s Christian Association」は、ゲイたちがパートナーを物色する場所と化していたから、このことを明るく歌うのが趣旨といえる曲なのである。
つまり、共和党トランプ派のバリバリの福音派からの目線(反LGBTQ)としていえば、水と油、の関係にある。
しかしながら、トランプ氏の全米各地での選挙演説会(ラリー)とは、じつは福音派牧師としての「ミサ」なので、終演を飾る曲としてピッタリあてはまって、支持者とともに踊るその姿がまた、『天使にラブ・ソングを…』を彷彿とさせて、これまたトランプ氏と水と油のウーピー・ゴールドバーグを刺激した。
当初ヴィレッジ・ピープルは、トランプ陣営にこの曲の使用中止を求めたが、あまりのリバイバル・ヒットに、2025年1月19日、ワシントンD.C.でのトランプ大統領二期目就任式前夜際に登場し、「ホンモノの演奏を披露」して、おおいに盛り上がったのである。
本人たちは、トランプ支持になったわけではないと言い訳し、だが一方で、トランプ氏によってこの曲がアメリカ人を喜ばせたことは認めている。
つまり、敵対するものたちを取り込む「交渉(ディール)」としてみれば、あきらかに政治的勝者はトランプ大統領なのである。
嫌い嫌いも好きのうち。
そうやって、トランプ大統領の追悼文の行間を読むと、そのいけずぶりと牧師としての立場の混在がなかなかに興味深いのである。
だから、この行間が読めないと、ただの批判しかでてこないことになる。
その「あぶりだし」が、寄せられるコメント欄でハッキリすることも、しっかり狙っていることなのだろう。
これがほんとうの「いけず」なのである。

