人類が行けない火星と太陽の極

宇宙旅行とは、どこへ行く旅行かと問えば、一般人ならせいぜい宇宙ステーションまでのことだろう。

これは、「宇宙」が、地表から約100kmより上空の、空気がほとんどない場所からはじまる、という定義から、もっとも近い「宇宙」にあたるからである。

21世紀の後半、あるいは22世紀になっても変わりなく、おそらく永遠に「ここまで」なのである。

科学万能主義がはびこった70年代、NASAは傲慢にも「火星移住計画」の予算化に成功(政治家たちを騙した)し、まんまとお遊びの研究に没頭した。

そのために、地球環境の悪化で住めなくなるという別のウソが必要であったが、このウソが別のビジネスでも大儲けできることをしってから、火星移住計画をすっ飛ばしてもいいほどに喧伝に務めた先が今なのである。

それでもって、いざというときのために、なんとなくいまでも、「火星旅行」とか「火星移住」とかという、いまどきのSFにもならない世迷言があたかも実現可能なごとく語られている。

しかし、火星旅行は物理的に不可能なのである。

人類が月に本当に到達したのか?さえも怪しいのは、太陽からの強烈な放射線に宇宙船内の人間を防御=シールドするための設備が、少なくともアポロ宇宙船には用意されていなかったことにある。

当時、宇宙開発でアメリカを先行したライバルのソ連は、「犬」を乗せた宇宙飛行の実験で、搭乗した犬が太陽風に晒された途端に即死したデータを得ていて、ソ連崩壊後にそれが公開された。

これを防御するには、船内の居住空間を「鉛の壁で覆う」必要があるが、そんな重量で地球の重力を振り切る大型エンジンのロケットは存在しない。

あらたに製作を試みることもないのは、大型エンジンになればなるほど、燃料も多量に積載する必要があって、そのためのさらなる大型エンジンが必要になり、それゆえにさらなる燃料を積む必要があるというループにはまり込むからである。

ときに、月までなら地球から3日の距離であるが、火星となると半年から9ヶ月を要する旅となり、この間、搭乗員は狭い空間での孤独に耐えなえなければならないし、とある地点で地球への緊急帰還も不可能となるのは積載した燃料の残量からの必然である。

すると、これではよしんば無事に火星に到着しても、地球に帰還する術がないのである。

なぜならば、火星の重力は月(約 1.62 m/s²)よりもずっと強く、約 3.71 m/s²(地球は約 9.81 m/s²)であるから、帰還するための燃料も月以上に地球から持ち込むひつようがある。
燃料や食料を無人機であらかじめ送り込んでおくことしか方法はないが、その保存と回収方法がこれまた困難なのだ。

つまり、鉛の壁と燃料、食料の用意が、膨大な重量となる。

つぎに探査という意味でも、行けそうもないのは太陽の極(北極・南極)で、こちらは太陽系の惑星が平面配置であることからの縦系(南北)に移動する反逆的飛行航路をどうするのか?の問題となるからである。

月の裏側をみたことがなかった人類であるが、じつは太陽の極を人類はみたことがない。

惑星を縛る、平面から外れる運動には、えらいエネルギーを要するために、探査機が大型ロケット化しても間に合わないのである。

すると、人類は、ほとんど地球に閉じ込められていることがわかるのだ。

「宇宙船地球号」とはよくいったものであるけれど、燃料も食料も自給できることの恩恵は、はかりしれなくおおきい。

その宇宙船地球号で自然発生する、台風、すら、人類はコントロールできないのである。

そうやってかんがえると、「観光の範囲」は、地球とその周回軌道にある宇宙ステーションまで、なのである。

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