TikTok 「禁止?」の緊急法案

13日、アメリカ連邦下院は、超党派の支持を得て賛成352、反対65で可決し、上院へ送られた。
チャック・シューマー上院多数派(民主党)リーダーが、どう処理するか注目されるが、「超党派での可決」を受けて、あんがいと早く議決すれば、あとは大統領が署名して成立する。

バイデン氏は事前に、可決されれば署名する方針を表明しているから、ほぼ決まったとみてよいのだろう。

もちろん、中国の字節跳動(バイトダンス)側は、可決を阻止するために法的権利を行使すると表明したという。

まず、報道の正確性を欠くので、「TikTok禁止法案」という言い方はまちがいである。

アメリカには、特定企業を名指しした法律を立法することは禁じられているためで、法案の主旨はより「包括的」となっているし、禁止ではなく、アメリカでの活動をやめる「か」、アメリカ企業による強制買収を選択できる、となっている。

しかして、なぜにこんな法案が素早く、しかも超党派という理想的な形で下院を通過したのか?について、日本での腐ったマスコミは解説もしないのである。

第一にあるのは、技術的な問題で、日本における「LINE」と同様に、利用者が投稿した他愛ないものが問題になっているのではなく、スマホなどの端末にある個人情報(行動履歴や支払決済記録などぜんぶ)が数秒でダダ漏れするということが、国家安全保障上の問題となっていたのは、トランプ時代からのことである。

「以前」は、数秒を要していたが、いまの機種では「一瞬」という、高性能化がされているのは、盗む側の技術向上だけでなく、端末自体の高速処理技術が逆手にとられているのである。

それでも、アメリカ人の若者を中心に1.8億人ほどがTikTokの利用者だし、それがほぼ民主党支持者ばかりなので、字節跳動(バイトダンス)側もたかをくくって、禁止法が議案に上程されてもロビー活動によって阻止できるとふんでいたようである。

情勢が変わったのは、「ハマス支援」のために若者たちが立ち上がったことだった。

アメリカ連邦議会は、上・下両院とも、イスラエルロビーが超党派(民主党も共和党の壁もなく)で牛耳っていることはあまりにも有名な話だ。

字節跳動(バイトダンス)という企業は、当然だが中共支配の企業なので、若者の行動の裏に、字節跳動(バイトダンス)による情報収集だけでなく、「宣伝工作」もあることがわかってきた。

アメリカ人の世論全体では、ハマス支持は半数にぜんぜん満たないが、10~20代でデータをとると過半なのもその徴候だというのである。

ここでひとつの事件となったのは、バイデン陣営が大統領選挙キャンペーンにそんな若者たちに受けるよう、「TikTokを公式ツール」としたのである。
よって、字節跳動(バイトダンス)側は、今回ような事態にならないと思ったにちがいない。

ところが一方では、若者たちのハマス支持に危機感を覚えた議員たちが素早く動いていた。

それで、時間がかかるロビー活動では間に合わないことに気づいた字節跳動(バイトダンス)側は、慌てたのか?やっぱり発想が打算的なのか?あろうことか、TikTokそのものをつかって、「国会議員に電話して議員の行動を阻止しよう!」というキャンペーン・コンテンツを加入者全員に送ってしまった。

これに賛同した若者たちが誰だかわからないけど、「電話する」のボタンをクリックして、通話行動にでたために、各州にある国会議員たちのオフィスの電話が次々とパンクしてしまったのだった。

これに、超党派の国会議員が震え上がったのである。

自身の政治活動が、一方的なTikTokのキャンペーンによって阻害される、つまり「実力行使」と認定されることになったのである。

このあたりは、目的に付随するが予測できない、「随伴的結果」そのものとなったのだが、全体主義者がしでかした浅はかなことではある。

それでその随伴的結果の方が議員仲間での大きなうねりとなって、あっという間の可決になったのである。

次の興味は、上院での可決をとっくに飛ばして、だれがTikTokを買収するのか?になっている。

この一連を振り返ると、バイデン側の「罠」にTikTokがかかったといえる。

それで買収するのが、マイクロソフトとか、アルファベット(グーグルの親会社)とか、という巨大な資本力のある企業なら、なんのことはない、外国のグローバル全体主義から、アメリカ国内のグローバル全体主義に引き渡されるだけ、という茶番になるのである。

アメリカは酷い国だといいながら、兆円単位のカネが手に入るから、この売買は双方どちらも笑いが止まらないだろう。

これはこれで、共和党トランプ派にとっての随伴的結果なのである。

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