ひとは「壁」をつくる

『壁』といえば、安部公房の小説で、高校の時の課題で無理やり読まされた、漱石の『こころ』とおなじく、数少ない自主性のない読書経験だった。
朝起きると、なにかがちがっていて、虫になっていたカフカの『変身』と重なって、これが、「実存主義」かと固定した。

突然「名前を失う」というのは、虫になるより強烈で、自分を自分だと証明するものを、人間は持たない日常があることに驚いた印象がいまも残っている。
だから、『千と千尋の神隠し』にはドキドキした。

   

その意味で、共産主義に傾倒するひとの思想は、飛び抜けて優秀だ。
きっと、ふつうに優秀な方がよいのだろうけど、そうもいかない正直さが、凡人に刺激をくれて、ついでに共産主義への警戒感も強めてくれる。

イタリア共産党を創設し、壁の中で思索した、アントニオ・グラムシもその典型で、「邪悪の本質」を正直に教えてくれた。
これがいまでも、アメリカ民主党などの「教科書」になっている気がしてならないのは、あんがい「まんま」の行動をしているからだ。

精神的な「壁」は、誰にだってある。
他人との距離感をいうこともあるし、自己としての「壁」は、どちらさまにも進入禁止であろう。

「ソーシャル・ディスタンス」が日本語になった2020年から、日本人の民族的な距離感は、これまでからどのように変化したのか?
「プロクセミックス(近接学)」では、「パーソナル・エリア」と呼んでいて、「民族」や「男女」によるちがいが研究されている。

ただし、「性差」について修正をしたがるひとたちが「進歩的(なぜか「リベラル」という)」とされていて、わが国でも「ジェンダー・フリー」という日本語で、高校生が夏場、校内プールにおける水泳の授業で男女がおなじ部屋で着替えることが実施され、議論をよんだものだ。

新年早々、アメリカ合衆国連邦下院議会では、開会の冒頭、ペロシ議長から、「性差の表現を下院の議論ではしないように」との注意があった。
例えば、「父・母、祖父、祖母、兄・姉、弟、妹など」を「発言しないようにいたしましょう」と。

これで、保守派ならずとも、違和感があるひとと積極的推進派とに、「壁」ができた。
つまるところ、壁を取り除くことが、あらたな壁をつくることになったのである。

さすが、「先進国」。

ニューヨークでは、とっくにトイレが男女共用になっている場所もあるという。
ならば、江戸時代のわが国で常識だった、温泉の男女共用浴場を、野蛮だとして廃止させて別にしたのを、さもなかったかのように「元に戻す」ことをしてこそ、わが国も「先進国」に留まれるのであろう。

進歩的なわが政府の次の手は、全国の温泉と共同浴場(銭湯)の壁を取り払うための工事費と休業手当を、いそいで予算化すべきだ。
そうでないと、アメリカ民主党政権から、どんな仕打ちを受けるやもしれないから、国家安全保障にかかわる問題ではないのか?

日米に、「壁」があってはならない、と。

だから、国境に壁をつくったトランプ政権は、最低なのだ。
しかも、下院で多数の民主党によって、この建設予算が与えられなかったから、国防総省の予算を転用する工夫までした。
もちろん、バイデン氏は「建設中止」を発表している。

この壁は、わが国でも「万里の長城」扱いされている。

万里の長城は、当時(春秋戦国時代)の国境につくられた「壁」である。
しかし、その後も始皇帝から明時代まで、修復・延長されてきた。
教科書にあったように、異民族(匈奴:北方騎馬)からの侵入に対抗するものだったのだ。

だから、北方の満州族がたてた清の時代になって、長城が放棄されたのは当然だ。
満州族は、長城の外から全土を征服したからである。

さては、トランプ氏はなんのために「壁」を建設したのか?
不法移民の侵入を防ぐため、という。
これは、合法移民は受け入れる、ということだから、メキシコ側も支持しているのだ。

不法移民は、不法ゆえに、アメリカに入国を果たしても、「市民権」は得られない。
ゆえに、奴隷的労働に従事するはめになるし、もっと深刻なのは、麻薬密売に手を染めるばかりか、人身売買の被害者になることである。

はたして、これら犯罪組織が、不法入国を助ける、という構図もできているのだ。

今回の大統領選挙において、合法的に移民したひとたちが、圧倒的にトランプ氏を支持したのは、不法移民がいなくなったことで、これらのひとたちの生活が安定したからである。
仕事における、時給の低下もなくなって治安すら改善した。

だから、アメリカを破壊して共産化したい進歩派が、壁に反対する理由がこれだ。
わが国外務大臣の思想も、国民を洗脳したマスコミもおなじだろう。

トランプ氏が急遽、アジア太平洋戦略の機密文書を公開したのは、同盟国のはずの日本と韓国両国政府に、裏切るなよ、という警告の意味が理由だろう。
けれども、高まる緊張に、わが国のマスコミ・政府は動じない。

盤石だから、ではなくて、裏切り者のおとぼけだ。
さほどに「日韓」は双方で対立を演出して、アメリカからの警告を国民に伝えない涙ぐましい努力をしている。
レッドチームという、同じ穴のムジナなのだ。

日本国民と日本政府の間にも、とっくに「壁」ができている。

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