「ゼロCHINA」の損得勘定

かつての「満蒙開拓団」の悲惨が、現代の「ゼロCHINA」論になってきた。

ずっと、中国投資を煽っていたわが国を代表する「経済紙」を自称する、プロパガンダ紙は、中国からの輸入停止で「53兆円消失」と恐怖を煽っている。

ついでに、中国から別の地域からの調達に切りかえるにも、年間で13兆円のコスト増になると、脅迫しているのである。
「しかし」と、アップルとかダイキンとかの「中国離れ政策」についても言及して、あとは「読者=経営者の判断」と逃げている。

つまるところ、「リスク管理」のはなしなのだ。

「管理」と書くが、正しくは「コントロール」のことである。
多くの日本企業の経営者は、自己判断力が劣化して鈍っている「偏差値エリート」という木偶の坊が多数となったので、「コントロール」を放棄して、「リスク回避」を志向する。

しかしながら、「リスク」はまた、「利益率」をも意味するので、「回避」ばかりしていると、「利益率」もゼロに接近するのだ。
そうやって、日本企業の利益率が消失したので、「53兆円」どころのはなしではないはずだ。

これを計算した、早稲田大学の先生には、悪気はないだろうから、プロパガンダ紙に「切り取り報道された」ということだとかんがえる。

さてそれで、「リスク・コントロール」のはなしである。

まずは、どうやってコントロールするか?の前に、自社は何がしたいのか?を確認する必要がある。
あんがいと、日本企業はこの「確認」を端折る傾向がある。
「いまさら」というわけだ。

しかし、「常に動いている」のが、「経営環境」というものだから、「常に確認する」ということは、基本中の基本だ。
犬すらも、自身の群れの中の順位を、常に確認しているのであって、常にあわよくば上位を狙っているのである。

つまり、「いまさら」という企業は、犬以下の行動をしていることになる。
上位を狙うなんてできっこない。
いまの業界(群れ)の安定すらないではないか?と。

これで、本気で国際競争のなかで生き残れるとかんがえていたら、はやく「廃業」した方がいい。
従業員の生活や取引先に迷惑をかけずに、計画的に清算するのが、せめてもの経営責任というものだ。

リスク・コントロールの次の手順には、現状把握がある。
自社はこうしたいけど、それで実際はどうなっている?ということだ。
それではじめて、したいことと現実のギャップを確認するのである。

このギャップの「埋め方」のシナリオ作りが、リスク・コントロールの中心部分で、それが「計画」だから、出来上がった計画の複数案から「チョイス」して「実行」するという手順になることは、業界を問わない。

つまり、記事から、アップルやダイキンはこれを愚直にやっている、と読めるのである。
そうでない企業は、トップが犬にも劣るので、組織をあげて「(主君)押込め」をするのが、鎌倉以来の日本的伝統なのである。

さてそうはいっても、というのは、一企業レベルではどうにもならない、たとえば「国家レベル」でのリスク・コントロールが問題になる。
すると、なんのための業界団体なのか?とか、商工会なのか?とかになるのだけれど、これがまた木偶の坊が多数なので動かない。

それでもって、総じて自民党を支持してしまっているから、先見性があるひとほど無力感と絶望感に苛まれることになっている。

そこで、目先を変えてみると、宗主国たるアメリカで、パトリック・J・ブキャナン氏(84歳)の言動がいま注目されている。

このひとは、ニクソンやフォード、レーガンといった歴代大統領のシニア・アドバイザーだったけど、1992年と96年には、自身が大統領選に共和党から立候補もしている「保守」の大物論客でも有名なのだ。

何度も書くが、アメリカで「保守」という概念が生まれたのは、あんがいと新しくて、その原因が民主党の共産化だったのである。
アメリカの「保守」とは、「建国の理念」を守るひとたちのことをいう。

彼が指摘したのは、アメリカの戦略の3つの失敗について、歯に衣着せずにハッキリと言い切ったことで話題になっている。
・ソ連崩壊後のロシア政策の失敗(ロシアをあくまでも敵視したこと)
・中国政策の失敗(経済発展が民主化を促すという幻想)
・中東政策の失敗(エネルギー同盟の崩壊)

著作家として、多数の出版をしているけれど、「日本語」になっているのは、次の二冊である。
『病むアメリカ、滅びゆく西洋』は2002年。
『超大国の自殺――アメリカは、二〇二五年まで生き延びるか?』は2012年。

 

さてそれで、「CHINA」とは何者か?といえば、「国家ではない」ことを意識しないといけない。
いまの「CHINA」とは、「中国共産党」のことである。
この党が、国家を支配しているからだ。

その内部での「抗争」は、習派と江派の死闘になっている。
ブキャナン氏が指摘したのは、鄧小平⇒江派という流れでの、民主党による利権政治と「Republican In Name Only」のブッシュ家からの失敗だ。

「フランケンシュタイン」を作ってしまったのだ。

すると、「ゼロCHINA」とは、ただの損得勘定で表現はできない。
こんどは、こちら側が「襲われる」立場になったからである。
どうやって、フランケンシュタインを倒すのか?が、最大のリスク・コントロールになったのである。

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