オランダ最長ルッテ政権の崩壊

7日、オランダ史上最長、ヨーロッパではハンガリーのオルバン政権に次ぐ長期政権(12年間)だった、ルッテ連立政権が崩壊した。

日本とはちがう「制度」があって、総選挙は年末に持ち越されることになったので、ルッテ政権は、選挙後に次の内閣が組閣されるまで、「暫定内閣」として一応生存しつづける。
しかし、日本でいう、「選挙管理内閣」ともちがうのは、議論を要する決定は、「してはならない」というルールのために、まさに既存の法による「行政だけ」をすることに限定される。

よって、オランダ政府は、あたらしいことを何かはじめる、ことができなくなった。
凍結される政策のうちの重大事が、次の3点だ。
・積極的移民受け入れ政策
・農業破壊政策(牛のゲップが二酸化炭素を排出する)
・住宅問題(移民の住む場所確保が農地の強制収用とリンクする)

今回の政権崩壊の直接的な原因が、移民政策の閣内不一致であった。
数を制限するだけでなく、一定期間(2年間)受け入れた移民が本国の家族を呼ぶのを制限する等の意見と、無制限に受け入れる主張との決裂であった。

とはいえ、前に書いたように、「農民一揆」がおさまらず、あたらしくできた政党、「BBB(農民市民運動党)」が3月の州選挙で大躍進した。
たったひとりしかいなかった、連邦下院議員の中年女性が、口を開けて驚いている写真が世界に配信された。
素人であろうが誰であろうが、「あったまにきた!」と立ち上がった人びとが、次々と「当選」したのである。

なにせヨーロッパ最大の農産物輸出国がオランダなのである。

そのオランダ農業を衰退させる、としたのは、世界経済フォーラムの主張に近しいために、おおいなる疑いがかかっている。
農業は、農地ではなくて、人工的な植物工場で効率的にかつ厳密な監理下で大企業によって生産されるべきである、というのがそれだ。
もちろん、タンパク質は、合成物か昆虫を原材料にする。

「食肉」は、一部のひとたちが口にするだけあればいい、という特徴的な主張もしている。

その一部のひとたち、とは、世界経済フォーラムの理事などの幹部(おもに金融資本家)に限る、とも公言しているのである。

自分たちは(仕方なく嫌々)ステーキを食べるが、一般人には栄養価の高いコオロギを食することができる「特権」がある、と。

日本でコオロギ食を勧めている、河野太郎氏は、その世界経済フォーラムの若きリーダーのひとりとして嘱望されていることも、日本人はしっていていい。

ルッテ氏は、当初、中道右派として「自由民主党」を率いていた。
しかしながら、どんどん左傾化して、世界経済フォーラムの指針通りの政策しかやらなくなって、農民一揆となったのである。

この流れが、わが国の政治シーンとそっくりなのだ。
ただし、わが国においては、「一揆」にまでは至っていない。

もう、江戸時代なら多発したはずの、「五公五民」になったのに。

岸田自民党は、さらなる「増税」を目論んで、「六公四民」に迫る狂気すらある。
それに江戸期なら、一揆が勃発したことが御公儀にしられたら「藩はお取り潰し」、藩主以下家臣団は全員失業する責任を取らされたが、いまは、知事も市長も、あるいは地元選出国会議員も、誰にもお咎めはないから、もっと酷い。

一方、オランダからみてドーバー海峡の向こうにある島国、英国は、先進国最悪の経済状況に陥って、歴史的インフレ対策の名の下に金利が上昇し、国債は下落、庶民は年収の半分以上が住宅ローン返済に取られる事態となって、不動産価格が下落するばかりか、日本における「住宅財形」の解約もすすんでいる。

住宅以外に使うなら、税金の優遇もなくなるが、もう背に腹はかえられぬ状況になってきたのだろう。

英国転落の最大の要因は、北海油田の開発を「脱炭素」の名の下に中止して、風力発電に依存したためであった。
気づいたトラス首相は、北海油田の再開発を許可しようとしたが、なんと、世界経済フォーラムの傘下にある、国際エネルギー機関(IEA)から「まった」がかかって、断念させられたのだった。

この意味で、英国にいま、オランダのような「鬱憤」のエネルギーが溜まってきている。
「ドミノ現象」の準備が進んでいるのである。

こんな状態は、アメリカの「州」にも伝播して、州議会議員の民主党から共和党への「乗り換え」がすすんでいる。

ジョージア州では、鉄板の民主党選挙区(共和党は候補を立てなかった)から選出された州下院議員(黒人女性)が、勇気ある決断で共和党に寝返ったので、話題になっている。
「民主党は、黒人を利用しているだけだ」と、おそらく民主党には図星の痛い指摘で、次回選挙は「絶望的」だとも話題になった。
残り1年半の任期中、大暴れする背水の陣にちがいない。

ウエストバージニア州では、共和党現職を破って当選したひとが、共和党に寝返った。
また、ルイジアナ州では、共和党が「2/3以上のスーパー・マジョリティ(絶対多数)」となって、民主党知事の法案はまず通らないことになった。

じわじわと「オセロ・ゲーム」のようなことが世界で起きている。

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