日本は今年デフォルトするか?

七草もすぎて、いつもの通りあっという間に正月が終わる。

企業活動も本格始動する中で、今年ありそうな出来事の最大惨事はなにかを妄想したら、それはデフォルトだとおもわれるので書いておく。

昨年発足して英国史上最短で退陣した、トラス首相のことは、記憶に焼き付けるまでの時間もなく、気の毒なくらいだれも覚えていない。
しかし、伝統ある英国の民主体制のなかでの、保守党党首選挙を経ての首相就任だったから、なんで辞めたの?という疑問はつきまとう。

トラス氏は、ちゃんと選挙中に公約として「減税」を訴えていた。
しかも、その規模は、かつてのサッチャー氏や、トランプ氏がアメリカでやった規模とは比較にならない「小さな規模」のものだ。

にもかかわらず、勝利して内閣が発足していよいよ実施するための仕事をはじめたら、市場が反応して、英国ポンドと英国国債が暴落した。
減税によって英国政府債務が膨らんで、デフォルトするかもしれいことの、市場からの警告だ、と報道された。

彼女は当初、たいした規模ではないからと減税を強行する態度を示したが、結局曲げて、あたかも市場に屈服したけど、与党内からの批判に絶えられずに辞任に至ったのだった、ということになっている。

しかし、これをよく観察すると、市場とマスコミがグルなのではないか?と疑うのである。
「市場」には、二種類あって、一つが大富豪が動かすという意味、ひとつがその他大勢が動かすという意味で、マスコミはその大富豪たちが会社を保有している。

つまり、減税するな、という命令を自ら「売り」でやってみせて、これをマスコミが書きたて、それから大勢の一般投資家が「売り」をかけて波状攻撃としたのである。

英国でのこの一連の騒ぎは、世界の各国政府を震撼させた。

コロナで傷んで、エネルギー危機でインフレが拡大し、それがスタグフレーションの景気後退になる時期に、むかしだったら増税をやるバカはいなかった。
もちろん、ちゃんとした経済学者たちが、そんな政治家を阿呆呼ばわりしたはずだ。

しかし、いまはちがう。

なにせ、研究費が、どの国も政府予算に依存するようになったから、まず政府批判をするバカが学者世界からいなくなったのである。
それでもって、どちらの政府も、この時期に増税をやるといっている。

国民はそれでは貧困化するので、なんとかしてくれとなって、減税を要求するばかりか、補助金もほしがる。

ところが、どの国の政府も、財政赤字は世界共通なのである。
これには、はるか以前からのケインズ経済学で、政府の財政支出による「景気対策」が恒常化したことによる。

一応、ケインズ自身は、「不景気のときだけだよ」といったけど、そんな律儀な政治家なんて世界にいない。
だから、なんでもかんでも財政支出の対象にして、役所は肥大化をつづけた。

それが、70年代から80年代にかけての、サッチャーとレーガンによる、「小さな政府」への転換運動だった。
日本では、形だけ中曽根内閣で「第二次臨時行政調査会」なる茶番がおこなわれて、土光敏夫氏がまんまとピエロにされてしまった残念がある。

なお、内閣府が小さな政府と大きな政府について、長い蛇足記事で解説しているから、騙されないように批判的に読まれると参考になる。

つまるところ、いまの苦境は、ほぼ100年前から用意されていて、半世紀前の揺り戻しが成功したら、それからまた元の木阿弥になったのである。
英国はブレアの労働党政権になって、アメリカはクリントンの民主党政権に戻ってしまった。

この流れを無視して、いましかみない。

じっさいに、トラス政権の失敗が日本の与党にどんな恐怖を味あわせたのか?についての情報がないことが、その震撼ぶりをかえって想像させるのである。

「世界政府」という、ついぞこの前なら与太話だった単語が、いまではすっかり正体をあらわして、まだ与太話だというひとの情弱ぶりが心配になるほどに変わった。

トラス女史は、世界政府を甘く見た、としか解釈できない。

もちろん、世界政府は支配者のための団体だから、支配される側のことは知ったこっちゃない当然がある。
世界人類を奴隷にしたいひとたちが主宰者なのだ。

だから、景気後退時に増税をやらせる。
そうでないと、財政破綻させるぞ、という脅しなのである。

しかし、財政破綻して困るのは政府自体であって、国民ではない。
ここに国民が気がつかないように脅すのが、脅迫のコツだ。

いま、日本国債の格付けは「A」(A一個なので「シングルA」という)である。
この下は、「BBB」(B三個なので「トリプルB」という)で、ここまでが「投資適格」の位置づけとなっている。

そのまた下の、「BB」に格付けされたら、大変だ。
これは、「投資不適格」というランクだから、いわゆる「ジャンク」扱いになる。
すると、まともな機関投資家(銀行や生保)は、買えないどころか保持することもできない。

資産内容の健全性が規制されているし、預金者や保険加入者に説明責任が果たせなくなるからである。

なので、日本国債の格付けがどうなるのか?は、政府にとっても国民にとっても大問題になる。
それでもって、政府はその大問題を国民に負担させようと画策するはずだ。

しかし、日本人にとって、国内だけでみれば、あたらしい政府樹立の大チャンスでもある。
いまの政府運営者たちにはお引き取り願えるからである。

ただし、これを救済しようとやってくるのが外国勢力だと厄介だ。
たとえば、隣の大国とか。

どちらにせよ、日本国は、身の丈を忘れて発行しすぎた国債によって破綻するのは、時間の問題になりつつある。
これが、麻薬と麻薬中毒者の末路なのだが、もうだれにも止められない。

それをトラス政権が教えてくれた。
わが国のばあいは、亡国の危機だけど。
日本が日本のまま継続していくことが、困難になってきている。

5月に予定の、広島サミット後に、一つ目の「山」がくると予想している。

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