「雪が降る」恐怖をあおる天気予報

1963年、サルヴァトール・アダモの名曲、『雪が降る』が、1911年にできた童謡の、『雪(ゆき)』を超えたのは、自分がおとなになったからでもあった。

目先と今日しかみていない子供にとって、なかでも、めったに雪をみない太平洋側にいれば、「ゆきやこんこん」と歌いながら白くなった道を学校へ向かったものである。

微妙なのは、中学生まではよしとしても、電車通学の高校生になると「雪」が恨めしくなるし、受験日当日に大雪ともなれば大騒ぎになるのは仕方がなかった。

戦時中にレーダーというものが開発されて、これを気象用につかうのが、あたかも「平和利用」だと思い込まされてきたけれど、戦場の気象条件は兵士の装備に直接関係するので、どちら様の軍隊も独自の気象観測・予報システムをもっている。

インターネットという便利な技術も、アメリカ軍が開発したもので、われらはその技術の「一部」を開放してくれたから使わしてもらっているに過ぎないけれど、いわゆる「ネット環境」がインターネットのすべてではないことを忘れている。

この意味で、データ伝送技術で、「FAX」を発明したのは1843年、アレクサンダー・ベイン(イギリス人)であったが、これはベルによる電話の発明より33年も早かった。
実用化したのは1960年代からの日本であったことは、日本人もしらない。

それでもって、新田次郎(本名・藤原寛人)が、気象庁で「富士山レーダー」の建設責任者として完成し、「てるてる坊主」や下駄の裏表で占うのと同格扱いだった、「天気予報」がいつしか、「気象情報」になったのである。

富士山レーダーの観測データは、東京大手町の気象庁に電送された

日本独自に気象衛星を打ち上げてからは、格段の精度になってきたとはいえ、ハワイにあるアメリカ第七艦隊司令部に付属する予報やら、NATOの予報が、わが国気象庁のスパコンとはそれぞれちがった解析プログラム(空気の流れ)のために、三つ巴の予報合戦となっていて、これをネットで一般人も観ることができる時代になった。

とはいえ、ロビンソン・クルーソーに代表される、「人間は常に合理的にかんがえる経済人である」という、おどろくほど古く間違った思想に、アナログ(連続)ではないデジタル(寸断)の発想が重なって、気象をコントロールするか、気象にコントロールされるかという選択肢しかかんがえなくなったのである。

そこには、人間中心の発想がぜんぜんないのに、これをまた、「ヒューマニズム」というから噴飯するしかないのである。

よって、台風が来きても大雪予報がでても、「通行を止める」ことが、安全だともっともらしいことをいいだした。

そりゃそうだけど、どこか変だということにも気にしなくなった。

当たらない天気予報の時代、たとえば大雪に立ち向かった鉄道保線区員たちの闘いはバカげてムダだというのか?
なんとしても、ダイヤ通りに列車を走らすことに執念を燃やしたことを、阿呆だというのか?

阿呆だというのが、いまの「気象情報」という、プロパガンダなのである。

「自然の脅威」を煽り、それでいて、二酸化炭素排出量を減らせば温暖化が回避できる(はず)という、非科学を平気でいえるのは、多数が同時に統合失調症を発症しているだけなのである。

そこで登場するのがいつもの、「不要不急の外出はお控えください」という、ソフトな戒厳令を発令するが、それが強制の強要なのだということも、いっている本人すら気づかない愚かさは、いったいどこからやってくるのか?

そんなものは、人生経験を積んだ成人なら、自分で決める。

10年程前、神奈川県中部の秦野あたりで夕方小雪が舞ったため、大急ぎで帰ろうとして東名高速に乗った。

厚木で2、3センチの積雪になったとき、このインターで降りるかそのまま横浜・町田インターまで行くかに迷ったが、ラジオの気象情報を信じてそのまま相模川を越えた途端に10センチを超えて積もっていて、これでまったく動けなくなった。

「丹沢おろし」の風が、温度差のある相模川の水を蒸発させて、海老名側に大雪を降らせるのである。

自車が「四駆」でも、大型トラックが道を塞いでどうにもならず、除雪隊が登場してなんとかなった。
横浜の自宅まで7時間半もかかったけれど、たまたまガソリンを満タンにしていて助かった。

大型トラックは、物流業務で走行している。
これを不要不急とはいえないし、だれだっておなじだ。

そんなわけで、相模川ひとつでも局地的な気象に影響して、バカにすることはできないのである。

一般情報が役に立たない事例だが、あちこちに転がっていることだろう。

南岸低気圧の動きも制御できない当たり前が、脱炭素と別枠なのがいかにご都合主義かがわかる一件なのである。

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