今月はお買い物

夏休みもおわって、とうとう9月になった。
ほんとうに消費税が増税されるらしいから、今月はお買い物の月になる。
個人のお買い物よりも、企業のお買い物で優先されるものがある。

「政府広報」といえば耳ざわりがいいが、増税するから「軽減税率」に対応したレジスターを買え、と企業に命じるのは「プロパガンダ」である。
それに、補助金をくれてやる、というオマケまでつけて正当化をはかっているのは、企業を乞食扱いしている。
さらに、10%と軽減税率の8%の両方が印字できるレシートがでないと、お客が困ると脅すのは、制度設計上の大問題を国民に押しつけるものだから、主張が倒錯しているのである。

なにがなんでも電子マネーの「普及率」をあげたい経産省は、クレジットカードで買うと2%分をポイント還元してくれると言い出した。
だったら、なんで増税するのか?
しかも、支払手段のちがい、というだけで、政府から補助金が交付されるという制度は、自由経済の原則に反しないのか?

前に、『「2円」のために失う「自由」』を書いた。
レジを通過した食品を、店内のイートインで食べれば10%、店内から出れば8%という課税ルールは、所有権の侵害ではないかという疑問である。

こうしたことに日本の税理士や弁護士が文句をいわないのはどういうことか?
税理士が税務署の岡っ引きになっているからか?
それでは弁護士は?

わが国の裁判所は、とっくに行政府にかしずいている。

原発「以前に」、三権分立なんて絵に描いた餅どころか幻になっている。
この意味で、わが国は近代国家「ではない」。

しかし、たとえば、原発の批判をするマスコミだって、その昔は「近代科学の勝利」として、原子力をもちあげなかったか?
核燃料でうごく『鉄腕アトム』は、10万馬力の「科学の子」なのであって、血縁関係のはずがない妹の「ウランちゃん」を忘れてはいけない。

「ポスト・モダン」は、そのとおり科学万能の時代の終焉であることが実証された。
これを「多様性」とか「ダイバーシティ」と呼んでいるだけだ。
科学万能を信じるひとたちがいまでもいるからである。
それと同様に、法律が万能であると信じるひとたちが「法治主義」といっている。

官僚を「依法官僚」と「家産官僚」に区分したのは、マックス・ウェーバーの『官僚制』だ。

わが国の官僚制は、あたかも「依法官僚」であるとみせかけて、じつは「家産官僚」であって、さらに始末が悪いのは、かしずくはずは「王家」であるはずなのに、これをまったくないがしろしにして、自分たちの王国をつくってしまった。
「官僚」という立場なら、なんでもできる状態で、あたかも政治家にかしずく振りをするから、中華王朝の「宦官」に似ている。

ひとりではないから、中心がない。
ここに、無間地獄的な闇がうまれる。

白人社会では「中心がない組織」は定義できないからありえない。
それで、GHQが血まなこで犯人捜しをしたが、とうとう「責任者」はいなかった。
仕方がないので東條英機が頭目だったということにした。
これに気づいた東條は十字架のイエスのごとく、日本の罪をぜんぶ背負って処刑されることをよろこんだのだ。

東條のおかげで、官僚機構は無傷で生き残った。

だから、国民は東條を別の意味で非難しなければならないのだが、あいかわらず「悪の権化」なのは、単純すぎる。

その官僚機構が、増税する。
政治家の無力は戦前以下になりさがった。
香港のデモを「支援する」発言を、日本の政治家はだれもいわない。

アジアにおいて、日本の発言力がまた一段とさがること確実である。

さて、そんななか、富豪ジム・ロジャーズが、日本人は出国せよとメッセージを発した。
本人はアメリカからシンガポールに移住する。
日本の没落は「確実」だから、はやく出るべきだという。

しかし、すでにわが国には「出国税」がある。
飛行場で1000円の出国税のことではない。
海外移住者にかかるのだ。

あゝ鎖国のニッポン。

仕方がないので、なにを買おうか?をせめてかんがえるか。

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