チクロからアスパルテームへ

チクロ(サイクラミン酸ナトリウム)が禁止されたのは、1969年のことで、わたしは小学校4年生だった。

禁止から1年ほどかけて市場から回収したというけど、それなりの期間は購入できた。

駄菓子屋の定番で、大好きだった、「あんず棒」の甘味だったと記憶している。
それで、同級生たちと「チクロちょうだい」と駄菓子屋の梅干し婆さんにいったら、そんなものはウチにはないよ、と返されたから、ほらここに書いてあると示したら、「イヤな子だねぇ」といわれたのを覚えている。

このお婆さんは、左右両方のこめかみに、種を取った梅干しを貼り付けていたのだった。
偏頭痛かなにか?に悩んでいたからなのか、いつも機嫌が悪かったので、駄菓子屋なのに子供たちから嫌われていた不思議がある。、

1956年に認定された「水俣病」の原因が、有機水銀だと国が認定したのはやっと1968年のことで、もっと前の1910年代からあったのは、カドミウムによる「イタイイタイ病」だ。
それから関西を中心にした、1955年の森永ヒ素ミルク中毒事件とか、PCBが混入した1968年の米糠油騒動(カネミ油症事件)とかが相次いでいた時期だった。

もちろん、大騒ぎになっても、いつも国の対応が遅いのは、「産業優先国家」ということでの企業擁護の特性そのものだったし、被害にあった国民はずっと放置されるのが、恐怖と不信を全国に広げていたのである。

産業優先だという点は、いまもぜんぜん変わっていないが、国民はずっと鈍感にされている。

1890年代に起きた「足尾鉱毒事件」で、「解決済み」と言い張った政府が落ち度を認めたのは1993年の、『環境白書』だった。

このように、いつも政府は鈍感をよそおって、国民が忘れた頃に非を認めるが、責任者が責任をとることはないのである。

上のチクロに関しては、アメリカとカナダとで発癌性とか奇形の疑いが出てきたものの、複数の「追試」で再現できず、ヨーロッパでは特にスイス政府が72年に「無害」を発表したのもあって、いまでも世界では継続使用されている。

それでも、我が国では禁止のままだから、科学技術大国としての「科学」は、はじめからなく、「宗教がかる」のである。
もちろん、積極的にチクロを使うべきだといいたいのではなくて、他国に依存するな、といいたいのである。

なぜなら、「人工甘味料」はまだ、「人工甘味料」というけれど、「化学調味料」を「うま味調味料」というようになったのは、完全に産業優先のままだからでる。
それで、我われは、「食品添加物」がふつうになったいま、いったい何を食べているのかがわからなくなっている。

そんななかで、先月29日、国際癌研究機関(IARC)が、人工甘味料「アスパルテーム」を発癌性分類リストに加えることを示唆したのである。
この「分類」には4段階があるが、どこになるかは今月決まる。

さて、アスパルテームは、完全人工化合物で、自然界には存在しない。

あのWHOも、今年、「カロリーゼロ飲料」について、健康への良い影響は期待できない、と「勧告」している。
アスパルテームには、カロリーがあるが、なぜか「カロリーゼロ」で表示が許されている。

その安全性に関しては、種々の疑問が提示されてきた経緯があるのに、2014年になって、FDA(アメリカ食品医薬品局)、EU、そして日本も食品添加物として認可したのである。
なお、わが国では、飲料に用いる人工甘味料として、「トクホ」の対象にもなっている。

ではどんな安全性に疑義があったのかといえば、この物質を1965年に発見した、アメリカ・サール社が、ワシントン大学に依頼した動物実験で、マウスの脳に異常が生じたので「追試」を他の研究者がやったところ、やはり異常が生じたのだ。

しかもサール社はこれを隠して、食品添加物としてFDAに申請し、いったんは通ったものの、隠蔽がバレて承認が取り消された。

これをひっくり返したのが、ブッシュ・息子政権の国防長官にして、ネオコン(グローバル全体主義)でしられる、ラムズフェルド氏が、サール社のCIOのときに、レーガン大統領との関係からか、再承認されたという変な経緯がある。

そんなわけで、アメリカでもヨーロッパでも、もちろんわが国でも、「ダイエット系飲料」にはお馴染みの状態にある。

成分表示を読むことが、健康維持の第一歩となっている面倒は、かつての「公害事件」より身近で深刻なのである。
マスコミが無視して、騒がないどころか、大手メーカーに気を遣って、その用語すら変えてしまう時代なのだ。

なんにせよ「成分表示」を読み込んで理解できる能力を、義務教育で身につけさせるべきではあるけど、わが国の教育制度は、なるべく生徒に商品名等で教えないことをやっているのも、産業優先だからである。

表看板に「男子大学」がないのに、「女子大」はあって、そこにLGBT法の成立を受けて、女性を自認する身体は男性を受け入れると大学当局が表明しているのは、GHQによって極左が大学を制覇したことの成果であるけど、性のちがいとは関係なく、「家政学」の重要性はかわらない。

その基本が、「化学」という学問分野であったが、もはや「量子論」の時代になった。

チクロなり、サッカリンなり、アスパルテームなりが、砂糖とちがってどんな消化(化学分解)をされて、それがまたどのように脳に伝わるのか?は、「腸内細菌」が命ずることだと先日書いた。

なお、完全人工化合物で自然界に存在しない「アスパルテーム」は、消化されないばかりか、排出する機能も作動せず、体内にどんどん蓄積されるばかりなのである。

おとなは子供に、こんなものを与えてはいけない。

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